猛牛のささやきBACK NUMBER
《侍ジャパン》室伏広治から教わった「一投一念」…“マッチョマン”吉田正尚が16年秋に送った「便箋にびっしり直筆の手紙」とは?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJIJI PRESS
posted2021/08/04 11:01
アメリカ戦で先制点となるタイムリーを放った吉田正尚。シーズンの好調をそのまま侍ジャパンでも発揮している
「野球ってほんと難しくて……。いい当たりでも、捕られたらアウト。そういう意味では、納得できるスイングを求めていくのがいいのかなと。結果だけで一喜一憂していると、どうしても長いシーズンの中で壁にぶつかりやすいと思うので、しっかりと自分の納得いくスイングで、ボールに対してアプローチができていたかとか、追い込まれてからどういうアプローチができたかというようなところを求めていくようにしています。ベストスイングを求めていって、いいスイングができればホームランになるという、それが理想形ですね」
日々、自身のスイングを映像で振り返り、現状を把握し、改善点を見つける。そうやって磨きをかけてきた。プロ1年目は、とにかく“豪快”という印象のスイングだったが、年々洗練されていった。
「強くボールに対してコンタクトしていくことはずっと変わっていないと思いますけど、結局、バッティングはシンプルになってくる。最終的にはタイミングが大事。タイミングよく、しっかりボールに対して芯で当てれば、自然と打球速度も上がるし、確率も上がっていくと思っています」
そのタイミングに加え、「このピッチャーに対してはどういう角度でバットを出していくか、こういう左ピッチャーだったらどこを狙うか」といった緻密な分析と技術が詰まっている。対応力、確実性は年々高まり、5年目の昨年は.350で首位打者に輝いた。
今年は打率と本塁打を両立
ただ、昨年は本塁打が14本と、前年の29本から半減しており、物足りなさを口にしていた。
しかし今年は、高い打率を残しながら、本塁打数も17本とすでに昨年を上回っている。追い込まれる前と後で、メリハリを今まで以上にはっきりさせていることが要因だと吉田は語っていた。
「若いカウントではしっかりと自分の強いスイングを仕掛けて、ミスせず捉えていく。追い込まれたら、逆方向を意識しながらなんとか粘っていく。カウントを整えて、最終的にフォアボールを取ったり、そういうことをできたらいいなと思いながらやっています」