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「女子は獲れない」を見返したいと…村上茉愛、天才体操少女が大人になったとき「大学1年がターニングポイントでした」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byMasamitsu Magome
posted2021/08/02 20:15
ゆかで世界屈指の実力者へと成長した村上茉愛。日体大での生活が飛躍へのきっかけとなった。
「体操をもっと好きになりました」
補欠から一気にエース格に躍り出ると、その後はテクニックとメンタルがうまい具合にマッチしていき、安定感が出てきた。初めての五輪となった’16年リオデジャネイロ五輪では団体でメダルまであと一歩の4位と大健闘。一方で、個人総合では14位、種目別ゆかでは7位と力が及ばず、この結果によって闘志に火がつくことになったのも好材料だった。
「振り返ると、大学1年のときがターニングポイントでした。やるべきことを自分で考えるようになったのが大きい。高校生までは技術練習が中心で甘えもありましたが、大学に入ってからは精神面を鍛えてもらいました。そして、リオの後はあれをやりたい、これをやりたいと、次々と欲が出てきて、体操をもっと好きになりました」
こうしてモチベーションの塊となった先に待っていたのが、先に記した昨年10月の世界選手権種目別ゆかの金メダルという快挙である。リオ五輪で4個の金メダルを手にした女王バイルスは不在だったが、このビッグチャンスを逃すまいと目の色を変えてきたベテラン勢、あるいは年齢制限をクリアして世界デビューを果たした若手たちとの競争は熾烈だった。その中で村上は見事に実力を発揮した。
ゆかで金より個人総合4位の悔しさ。
採点競技において、タイトルはその後の試合で大きな意味を持つ。しかも'17年は'20年東京五輪に向けて世界中がスタートを切る年。誰もがここで獲っておきたいと思うタイミングでもあった。
ただし、現在の村上が心の中で膨らませているのは、ゆかで金メダルを獲ったという達成感よりも、個人総合で4位に終わったことへの悔しさだ。
昨年の世界選手権での村上は、個人総合予選を1位で通過しながら、2日後に行なわれた決勝では気負いすぎから崩れて4位。
「プレッシャーの中で実力を発揮できない自分が悔しい」と泣きじゃくった。
「完全に経験不足でした。でもそれがあったことで、次は個人総合でメダルを獲りたいと強く思うようになっています」