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W杯予選で不正の恐れ…アフリカ大陸で横行する「PCR検査結果捏造」の闇<CAFアフリカサッカー連盟は沈黙> 

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フランク・シモン

フランク・シモンFrank Simon

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posted2021/08/01 17:00

W杯予選で不正の恐れ…アフリカ大陸で横行する「PCR検査結果捏造」の闇<CAFアフリカサッカー連盟は沈黙><Number Web> photograph by L’Équipe

中央アフリカへの遠征時、PCR検査で4人が陽性判定されたモーリタニア代表。再検査の結果は全員陰性だった

 だが、コロナを巡る災難に遭遇したのはベナンだけではなかった。シエラレオネ戦から遡ること数カ月、アフリカ・チャンピオンズリーグの予備予選において最初の事件は起こっていた。モーリタニアのFCヌーアディブーがガーナのアシャンティ・コトコ(アクラに次ぐガーナ第2の都市クマシに本拠を置くクラブ)に、第2戦を戦うことなく2020年12月6日に敗れたのだった。ヌーアディブーのアジズ・ブホールバル会長が事情を説明する。

「彼らは第2戦の前に罠を仕掛けた。同じことは今、アフリカ大陸のあちこちで起こっている。合宿先のセネガルを発つ前の検査では全員が陰性で、アクラ空港に到着した際の検査でも同じだった。ところが翌日、試合前日の検査では、偶然にも第1戦で活躍した選手たち数人が陽性だった。われわれは信頼のおける研究所で再検査をおこなったが全員が陰性だった。ところがCAFは、さらなる検査をわれわれに求めた。結果は3人が陽性だった。これにより不戦敗が決まった。スターティングリストに記載する選手の数が足りなくなってしまったからだ。

 コトコにとって皮肉だったのは、次のラウンドで対戦したスーダンのアルヒラル・オムデュルマンが、同じ策略で彼らを陥れたことだった。スーダンでの第2戦(第1戦はアルヒラルが1対0で勝利)、コトコの選手たちは十数人が陽性と判定された(結果は2対0でコトコの不戦敗)。2月に私はCAFの競技委員長に、このままだと不適切な前例ができてしまうと警告した。そして代表戦でも同じことが起こるだろうと。これはコロナを利用した新たな不正の始まりだ!」

アフリカ大陸で横行する検査不正

 この3月末、中央アフリカに遠征したモーリタニア代表は、同様の《驚くべき事実》に遭遇した。代表監督のコランタン・マルタンス(元フランス代表。現役時代は90年代にオセールやラコルーニャ、ボルドー、ストラスブールなどで活躍)が事情を語る。

「空港到着時の検査では全員が陰性だったのに、翌日に4人の選手の陽性が発覚した。そのうちの3人は、偶然にもホームでの第1戦で活躍した選手たちだった……。私たちは試合前日に首都バンギのパスツール研究所に行き、再検査を受けたが全員が陰性だった。試合前の監督ミーティングでは、チームドクターがCAFのコロナ対策責任者にグロテスクな結果を示す数字を見せた」

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