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大手コンサルと契約、元Jリーガーを監督に…東大サッカー部員が語る“大改革のワケ”「スポーツ推薦校に勝ちたい」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/07/30 11:01
学生主体で大改革を進んでいる東京大学ア蹴球部。その実態を学生に聞いた
細々とやっていくならいいんですけど、自分たちは関東リーグ昇格を目指すクラブにしたいんです。だからこそ、今集めている資金で十分とは思っていないです」
もちろん結果は同時進行で求められる。より高いレベルで勝負できる力がつけば、さらに支援の輪は広がるかもしれない。
勉強もビジネスもするけど、やはりサッカー選手。お金の話ではなく、サッカーの話をしている時の吉岡さんの目はギラギラして、アスリートそのものだった。
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2)強化ユニット長に聞く「監督に元Jリーガーを選んだ理由」
プロモーションユニットが集めたお金を強化にどう生かすか。それを考えていくのが東大サッカー部の強化ユニットである。
その強化ユニットが昨年に取り組んだ最大のミッションが、監督の選定だった。Jリーグで活躍した林陵平を東大ア式蹴球部の監督としてリストアップし、交渉、契約をまとめたのは、強化ユニット長の高橋俊哉さんだ。
「前任の山口遼監督が、退任する時に『次の監督は学生だけで選んだ方がいいんじゃないか』ということをおっしゃったんです。僕も強化の仕事に興味があったので、GKの染谷(大河)と強化ユニットを発足しました」
高校までサッカー部だったという高橋さんだが、浪人時代に戦術の面白さにのめりこみ、東大ア式蹴球部にも選手としてではなく、スタッフとして入部を決めた。戦術を突き詰めて考えるところに面白さを感じて入部を考えるのは、東大生ならではかもしれない。
とはいえ、学生にとって優れた監督選びは容易ではなかった。林監督に辿りつくまで、かなり四苦八苦したという。
「最初は、強化部といえども右も左も分からない状態でした。知り合いの伝手を頼って、5、6人の方とお会いしましたが、自分たちのスタイルと監督の考えが違ったり、金銭面で折り合いがつかず、12月になっても決まらなかったんです。そんな時に、林陵平さんが現役を引退するニュースを見て、水戸GMの西村(卓朗)さんに繋げてもらえませんかとお願いしました」
Jリーガーとは言え、監督としての指導歴はない。では、どこを重視して、林監督に白羽の矢を立てたのだろう。