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大手コンサルと契約、元Jリーガーを監督に…東大サッカー部員が語る“大改革のワケ”「スポーツ推薦校に勝ちたい」
posted2021/07/30 11:01
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
東京大学ア式蹴球部で何が起こっているのか? 2つの挑戦を主導した学生に話を聞いた(全4回の2回目/#1、#3、#4を読む)。
1)東大サッカー部には「スポンサー獲得部門」がある
「東大にはスポーツ推薦がありません。入ってきた選手をどうやって育てていくのかが重要なるんです。そのためにはお金が必要でした」
そう話すのは、東京大学ア式蹴球部の主将・吉岡泰生さんだ。
2019年から東大ア式蹴球部では、「関東1部リーグ昇格を目指すクラブに」という目標のもと、強化部門から広報部門など15以上の分野ごとに学生主体の“ユニット”を設置して組織作りを進めてきた。より円滑な運営のために、上下関係をなくし生産性を上げる経営組織方針「ティール組織」を意識しているのだという。
なかでも、吉岡さんが所属するプロモーションユニットでは、その名の通り、スポンサー獲得を目指している。今年は、2年目の契約となった大手コンサルティング会社アクセンチュアだけでなく、投資運用会社レオス・キャピタルワークスとの契約にもこぎつけた。
東大生の頭脳を駆使して、どのように契約に結びつけたのか。その経緯を聞いてみると、意外な苦労を話してくれた。
東大生はやっぱり交渉も上手い?「勉強してきたからって…」
「スポンサーセールスにいくと必ず『どんなメリットがありますか?』と聞かれるんです。でも、答えられるだけのプランもメリットも言えず、思うようにいかなかったですね。勉強とは違う頭の使い方が求められるというか、勉強してきたからって上手くいくことじゃないと痛感しました(笑)」
スポンサーセールスでは、まず自分たちの持っている価値が何なのかを言語化して、資料とプランを作り、企業にアプローチした。企業に打診すると、意外と話は聞いてくれる。ただ1回は話を聞いてくれてもその先に進めない。OBのサポートも受けながらなんとか企業と交渉を重ねたという。
ブラッシュアップを重ねて、吉岡さんが見つけた“東大サッカー部”の価値とは何だったのか。