Number ExBACK NUMBER
ガムを噛んだら歯ぐきから出血…レスリングの過酷な“減量”の実態「1日で10kg体重を増やす選手もいました」《東京五輪を楽しむツボ》
posted2021/07/12 17:35
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Getty Images
「あれ、こんなルールだったっけ?」
「前回大会とトーナメント形式が違う気がする」
「凄いのはわかるけど、どこが勝負の分かれ目かわからない」
テレビの前で、こんな声があがるのも、4年に一度のオリンピックならでは。「この競技を観るのはリオ五輪以来で5年ぶり」なんていう、にわかファンも多いだろう。
発売中のNumberPLUS「五輪の学校」には、そんな人にぴったりの企画を収録している。『あの競技を10倍楽しむ方法教えます』だ。12の競技をピックアップ、それぞれオリンピアン、現役代表コーチ、元代表監督などの“特別講師”を招いて、注目選手、新しいルール、知られざるトリビアなど、現場を知る人間だからこその「見どころ解説」をお願いした。
以下、今回の企画でとりあげた12の競技と講師の顔ぶれだ。
(1)陸上・4×100mリレー(講師:高平慎士)
(2)レスリング(講師:太田忍)
(3)バレーボール(講師:真鍋政義)
(4)競泳(講師:田中雅美)
(5)体操(講師:鹿島丈博)
(6)卓球(講師:平野早矢香)
(7)ソフトボール(講師:宇津木妙子)
(8)バドミントン(講師:潮田玲子)
(9)カヌー(講師:市場大樹)
(10)セーリング(講師:関一人)
(11)陸上・競歩(講師:今村文男)
(12)サーフィン(講師:大野修聖)
今回は、この中から3つの「見どころ解説」をピックアップしたい。
【1】レスリング「2日目の減量は過酷」
レスリングの解説をしてくれたのは、リオ五輪グレコローマンスタイル59㎏級銀メダリストの太田忍さんだ(太田さんは昨年、RIZINで総合格闘技デビューをしている)。
取材をしていて意外だったのが、選手の「減量」についてのお話だった。レスリングの選手もかなり過酷な減量をし、「(試合前日の)計量後に10kg前後体重を増やす選手も男子ではざらにいました」とのこと。太田さんも最後は“水抜き”で体重を落としており、体中から水分が抜け、ガムを噛んだだけで歯ぐきから出血したという。