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遂に帰ってきた「強いホンダ」 5連勝の大躍進に導いたレッドブル・ホンダのキーマンたちの“苦闘の記憶”とは

posted2021/07/09 11:03

 
遂に帰ってきた「強いホンダ」 5連勝の大躍進に導いたレッドブル・ホンダのキーマンたちの“苦闘の記憶”とは<Number Web> photograph by Getty Images

ファステストラップを叩き出してのポールトゥウィン。フェルスタッペンの今シーズン5勝目はまさに圧勝と言える出来だった

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 ホンダが第9戦オーストリアGPで勝利し、第5戦モナコGPから続けてきた連勝記録を「5」に伸ばした。これは91年の4連勝を30年ぶりに超える快進撃だ。

 その年、 ホンダからエンジンの供給を受けるマクラーレンが、アイルトン・セナを擁して開幕から4連勝を飾り、選手権をリード。ウイリアムズ・ルノーを駆るナイジェル・マンセルを下して、チャンピオンに輝いた。これがホンダにとって、最後のタイトルとなった。

 91年の記録を上回る5連勝を達成したホンダには、早くも30年ぶりのタイトルを期待する声が高まっている。

 3連勝目となった第7戦フランスGPの表彰式には、エリック・ブーリエが参列していた。ブーリエは現在、フランスGPのマネージングディレクターを務めているが、ホンダがF1に復帰した2015年からの3年間、マクラーレンのレーシングディレクターを務めていた人物だ。そのブーリエが表彰台の上から視線を送っていたのが、かつて苦楽を共にしたホンダのスタッフだった。

「ホンダと一緒に仕事できたことを誇りに思っている。われわれとホンダの挑戦は困難の連続だったが、共に歩んだ旅路を私は後悔していない。ホンダが活躍している姿をいまこうして見ることができることを本当にうれしく思っている」(ブーリエ)

マクラーレンとの苦い経験があればこそ

 表彰台の下にいたスタッフの中で、ブーリエと目と目で会話をしていたのが、山本雅史(マネージングディレクター)だ。

「マクラーレンとはいろいろあったけれど、マクラーレンと組んだ3年間で勉強した結果がいまに繋がっていることも事実。レースは継続していくことで強くなる。いまわれわれはレッドブルと組んで勝ち始めていますが、それはマクラーレンから始まって、いまがあると思ってます。前回(19年)、ポール・リカールを訪れたときは勝てなかったので、ホンダF1ラストイヤーの今回、エリックの前で優勝することができて感慨一入です」

 ブーリエもまた、ホンダのタイトル獲得を信じているひとりだ。

「彼らがチャンピオンになることを私は祈っているし、彼らならいずれ成功すると信じている。マクラーレン・ホンダ時代、私は何度も日本を訪れ、青山とさくら(HRD Sakura)で多くのミーティングを行った。われわれの夢はマクラーレン・ホンダ時代には成就できなかったが、ホンダには是非ともメルセデスを倒してもらいたい」

【次ページ】 50年目の表彰台

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