大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
腹筋すらできないのに…双子の母になった大山加奈が実感する“復帰するアスリート”のスゴさ「絵里香、さくらちゃんを尊敬する」
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph byMiki Oyama
posted2021/06/21 11:01
妹・未希さんらのサポートを得ながら、子育てに励む日々を過ごす大山加奈。母となったことで、スポーツをする環境づくりへの思いをより強くした
ただ、勘違いしてほしくないのは、それが決して当たり前ではない、ということです。
妊娠、出産を経て、ましてや驚くほどの短期間で復帰を遂げる選手たちは、専門家のきちんとした指導のもと、トレーニングや身体の管理を行っているからこそ、為せるものでもあります。
そんな背景も知らず「横峯選手はもう試合に出ているのに何で動けないんだ」「同じ産後でもトレーニングしている人がいるのに、お前は甘えているんじゃないか」と言うのは大きな間違い。むしろ動けないぐらい身体がきついのが当たり前で、それを驚異的な精神力で乗り越えていくアスリートたちが本当に素晴らしいのだと、きちんと理解していただきたいと思います。
今でも変わらない「スポーツ」への思い
これまでは当たり前だったバレーボールの現場に足を運ぶことがほとんどなくなり、春高をテレビで見ながら「私はまた現場に戻れるのか」と不安になったこともあります。
今も少し時間ができれば、ネーションズリーグを観ることはありますが、以前のように戦術や選手起用について目を向ける余裕はない。今は子どもたちに目と心と身体、すべてを向けて、可能な範囲のお仕事をするのが精いっぱい。何より、子供たちと離れる時間が想像できない。
それもまた、母となった今も第一線で戦う絵里香のような選手たちを改めて尊敬するばかりです。
一方で、母として子どもを第一に考えるのはもちろんですが、春高の現場から遠ざかり「寂しい」と感じたように、私はスポーツの現場も好きで、やりたいこともある。それは出産を経ても変わりません。
これまでも子どもたちがいつまでもスポーツを楽しめる環境をつくりたいと思い、いろいろな活動に参加させていただきましたが、今ももちろんその思いは同じ。むしろ母親になったことでより一層、いつか我が子もスポーツをやりたい、バレーボールをやりたい、と言い出すことがあれば、いつまでも楽しくスポーツを続けることができる環境づくりをしていきたいと強く思うようになりました。