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王座陥落でも…武藤敬司が“禁断のムーンサルト”の封印を解いたワケ「オレにはオレのノアより長い歴史がある」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2021/06/08 17:01

王座陥落でも…武藤敬司が“禁断のムーンサルト”の封印を解いたワケ「オレにはオレのノアより長い歴史がある」<Number Web> photograph by Essei Hara

貫禄のある58歳の武藤敬司は封印していたムーンサルト・プレスを出して観客を驚かせた

「こんなハゲちゃびんの還暦前のオヤジを」

「こんなハゲちゃびんの還暦前のオヤジをどう思うか。オレのファンが集まっているわけじゃない。難しいと思うよ」

 埼玉スーパーアリーナに女子プロレスを含めたCyberFight傘下の4団体のいろんなファンが集まっている中で武藤は自分を知らない観客の存在を気にしていた。だが、そう言いながらも、プロとしてのキャリアの豊富さを自負した。

「それはオレの長いキャリアの中で、(東京ドームで)猪木さんや橋本、小川直也らがぐちゃぐちゃにしたリングでも、ちゃんとメインを務めて収めて来た。25年も前だけれどね」

 武藤は新日本、アメリカのWCW、全日本、WRESTLE-1、そしてノアなどのリングに立って多くのレスラーと戦っていた。

「トリッキーなヤツもいた。そいつらとも順応してやって来た。オレの財産だよ」

「武藤敬司を何一つ越えられたと思っていない」

「円熟した武藤さんを食い尽くしたい」と丸藤は言っていた。低空ドロップキックもシャイニング・ウィザードも、飛び上がることと伏せることでしのいだ。

 4の字地獄からの脱出にも成功した。結果として、ヒザで武藤を沈めることができた。

 だが、武藤が犯した過ちというかサービス精神がなければ、丸藤の王座返り咲きはなかっただろう。

「武藤敬司を何一つ越えられたと思っていない」

 丸藤は痛めた足を引きずりながら、控室に戻る武藤の背中にリング上で正座して頭を下げた。

【次ページ】 禁断のムーンサルト・プレスに手を出す理由

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