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“ご意見番”武蔵丸「他の力士はもっと照ノ富士の研究をしなきゃ」「朝乃山は落ち込んでいる場合じゃないよ」

posted2021/05/25 17:01

 
“ご意見番”武蔵丸「他の力士はもっと照ノ富士の研究をしなきゃ」「朝乃山は落ち込んでいる場合じゃないよ」<Number Web> photograph by KYODO

夏場所千秋楽の優勝決定戦。照ノ富士がはたき込みで貴景勝を破る

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武蔵川光偉

武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide

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 この5月場所は、3月の先場所に続いて大関照ノ富士の優勝で終わった。大関貴景勝との優勝決定戦までもつれこんだけど、今場所の照ノ富士はちょっと「ピン!」と来なかったな。そこまで元気には見えなかったんだよ。相手に押されないように、あごを引いて体を丸くしていたんだよね。元気な時は力強くパワーで持って行っていたけれど、今場所は動きも硬かったように見える。僕からすると、「どうにか勝ってる」感じがしたんだね。結局、周りの関取衆が照ノ富士を研究してないってことでもあるんだ。大きい照ノ富士を相手に、中に入ったら動かないといけない。みんな、何もしないんだもんなぁ。

遠藤は止まっていなかったでしょ?

 その点、14日目の遠藤は、物言いがつくほどに際どい相撲で照ノ富士に土を付けたけど、たいしたもんだよ。遠藤の動きは止まっていなかったでしょ? 攻略法としては、差し手を浅くして思い切り押して行ったり、動きを止めずに、大きい照ノ富士の体を横に向かせるくらいじゃないとダメなんだ。照ノ富士に対しては、止まらず動いて行かないと、みんな勝てないよ。もし現役時代の僕が照ノ富士と戦うんだったら、「どうぞ、右四つで組んでください! まわし掴んでくれたら嬉しいです!」ってところだけどね。僕のほうが今でも体が大きいし(笑)。

 遠藤は相撲が巧いと言われてるけど、左四つの形をしっかり持っていて、それが中途半端じゃないんだ。自分の型を信じて貫いている。体としては、大きくなくて圧力がないけど、本当に褒めてあげたい。千秋楽で遠藤が正代に勝てば、優勝決定巴戦の可能性も残されていた。これもいい勝負だったけれど、正代に腕(かいな)を返されて、遠藤の体が浮いちゃったんだ。でも、相撲はまったく悪くなかったね。

 今場所の「マル親方三賞」受賞者は、文句なく遠藤だな。

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