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【3戦連発+投手でも凄い】大谷翔平のスプリットは「最も打たれない魔球」 データで浮かぶ“田中将大らと違う2つの特徴”
text by
間淳Jun Aida
photograph byGetty Images
posted2021/05/19 17:04
大谷翔平のスプリットとストレートを解析すると、興味深いデータが浮かび上がってくる
上の表が示しているように、スプリットは他の変化球と比べて空振りを取りやすい。
その理由の1つに森本氏が挙げるのは、メジャーリーガーにスプリットを投げる選手が少ないことだ。
日本人のパイオニア・野茂英雄から始まり、佐々木主浩や上原浩治、岩隈久志や田中将大ら、海を渡っても成功した多くの投手も、スプリット(フォーク)を武器にしていた。メジャーの主流は、カットボールやツーシームのようにボールを動かす投球。縦の変化に慣れていない打者も多く、効果的な変化球となっている。
空振り率はメジャー平均を大きく上回る56%
その中でも、大谷のスプリットは次元が違う。
空振り率はメジャーの平均36.5%を大きく上回る56%。この驚くべき数字を引き出している秘密は「落差」にある。
森本氏は「大谷選手のスプリットは落差が非常に大きい。田中選手や岩隈選手と比べても縦によく落ちるのが特徴。平均的なスプリットよりボール1個分か、それ以上の落差がある」と説明する。他の投手に比べて7~10センチほど落ちるため、打者は簡単にはバットに当てることができないのだ。
「ジャイロ回転」でなおかつ横変化が少ない
その大きな落差を生み出しているのが「回転」。回転軸が進行方向に向く「ジャイロ回転」をしているという。ジャイロ回転はストレートと真逆の作用が働き、縦に鋭く落ちやすくなる。
表2は大谷、上原、田中によるスプリットが、平均でどれくらい横に変化しているかを示している。多くの投手と同じように、上原や田中のスプリットはシュート回転しながら、左打者の外角へ変化している。一方、大谷の投球は横の変化が9.6センチと少ない。
森本氏はこのように分析する。