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藤井聡太二冠“日付越え逆転勝利”で勝率.976 「アリ地獄」的な順位戦、谷川浩司九段が「イチローvs大谷」にたとえたワケ
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJapan Shogi Association
posted2021/05/14 11:02
第80期順位戦B級1組1回戦、三浦弘行九段に勝利した藤井聡太王位・棋聖(撮影別日/代表撮影)
「下のリーグにいけば対戦相手が弱くなるかといえば、そうではない。その競争の熾烈さは、順位戦を戦う重圧の1つなのです。奨励会からプロ入りした若手は、まずC2クラスに在籍します。それは私も、藤井二冠も、羽生(善治九段)先生も、どの棋士も同じです。それもあって、今後有望であろうイキのいい若手が待ち構えています」
将来的に将棋界のトップを目指す新世代に食われかねない――。棋士はそれほどまでに厳しい勝負の世界で生きている。
イチロー選手も、大谷翔平の球を……
<名言2>
イチロー選手も、大谷翔平の球を打ってみたかったと思うんです。
(谷川浩司/Number1010号 2020年9月3日発売)
◇解説◇
第79期順位戦B級2組では、将棋史に残る1つの対局が行われた。2020年9月9日の藤井二冠-谷川九段戦だ。ともに「中学生棋士」であり、藤井二冠がタイトル戦登場通算57回、計27期のタイトル経験を持つ谷川九段と順位戦で相まみえることになったのだ。
その直前のタイミングで取材に応じた谷川九段は、イチローと大谷翔平という日本野球が誇る2大プレーヤーにたとえて対局への意気込みを語った。40歳の年齢差がある藤井二冠への敬意を示すとともに、将棋への飽くなき探求心はいまだ健在なのだ。
谷川九段が語った「楽しみ」とは
対局では先手の谷川九段が両者得意とする角換わりを採用。互角の展開からじわじわと藤井二冠がリードを奪い、76手で谷川九段を投了に追い込んだ。
それでも、谷川九段は前述の取材でこうも話している。
「若い世代と対局を通じて対話ができるのも、恵まれたことですし、やりがいだと思います。それも1つの楽しみに、これからも(将棋を)続けていくということになりますかね」