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「有り難うございます。1本出ました」超人・糸井嘉男は律儀な男…今年で40歳、“近大の後輩”佐藤輝明から受けた刺激とは? 

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/05/11 11:02

「有り難うございます。1本出ました」超人・糸井嘉男は律儀な男…今年で40歳、“近大の後輩”佐藤輝明から受けた刺激とは?<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今季2号目を放った阪神・糸井嘉男。今年でプロ18年目、7月には40歳を迎える

 ベテランとしての周囲への気遣いも怠ることは無かった。取材陣にも非常に丁寧で謙虚な姿勢を崩さない。移動中も糸原健斗らをはじめレギュラー陣に声を掛け、盛り上げる糸井がいた。試合に出られない時間も気持ちの充実を感じさせるベテランの姿があった。

 糸井に刺激を与えている要因の1つに、近畿大学野球部の後輩・佐藤輝明の存在がある。オープン戦から異次元の数字を叩き出すルーキーの入団によって、糸井を取り巻く環境は大きく変わった。それでも、佐藤が本塁打を放つ度に満面の笑みで出迎える背番号7番がベンチで目立つ。

「テルは可愛い後輩です!」

 糸井は後輩がみせる対応力の速さ、頭の良さに驚き、技術的な部分でも精神的な部分でも佐藤を認めている。性格は違うだろうが、周りに振り回されることなく黙々と自分のペースで日々の練習、試合に臨む佐藤の姿を若い頃の自分に重ねているのかもしれない。

「今年はやれる、できる」

 5月9日、母の日のDeNA戦ではともにスタメンに名前を連ね、18歳も離れた近大コンビが躍動した。四球を選んで流れを呼び込んだ佐藤が生還すると、今度は糸井が今季第2号を右中間スタンドに運ぶ。そんな2人の活躍にあって阪神は貯金を今季最多の「14」に増やした。

 糸井は少ない出場機会の中でも、打率3割、2本塁打、6打点(5月9日時点)と結果を残し、「使えばやってくれる」という空気も感じさせる。7月で40歳。今後も必ずや勝負所で光り輝くだろう。シーズン後半戦へ向けて、控えからでもスタートからでも糸井が大車輪の活躍を見せてくれたら、阪神タイガースの2005年以来のリーグ優勝が現実味を帯びてくる。

「今年はやれる、できる」

 そう自負する超人に大きな期待感が漂っている。

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