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給与未払いに人種差別…ロベカル、パウリーニョらブラジル人も東欧でモメていた 浅野拓磨の“泥仕合”に共通する教訓
posted2021/05/08 11:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
日本代表FW浅野拓磨が5月2日、自身のインスタグラムで「度重なる給与等の未払い、またそれに対する不誠実な対応によりクラブからのリスペクトを感じられなくなった」としてセルビアの名門パルチザンとの契約解除を発表した。
これに対してクラブ側が「根拠のない退団であり、契約違反。FIFA(国際サッカー連盟)の管轄機関へ訴える」と反論して泥仕合となっている。
FIFAの規約では、クラブ側に2カ月以上の給料未払いがあった場合、選手は書面でそのことを指摘し、指定した期間内(最短で15日間)で事態が解決されなかった場合は契約を解除してフリーの立場になることができる。「度重なる」としていることから、2カ月以上の給与の未払いがあった可能性が高い。クラブ側も「給料未払いの事実はなかった」とは言っていない。
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また、浅野の発表に対してパルチザンのサポーターの多くは「これまでクラブに貢献してくれて、本当にありがとう」、「君は、このクラブでプレーした外国人選手の中で最高の1人」、「君に対してこのような仕打ちをしたクラブを恥ずかしく思う」などとコメントしている。
外国では給料未払いの経験がない方が珍しい?
外国のサポーターは、自分が応援するクラブがいかなる財政状況にあるかをかなり的確に把握しているものだ。
日本では、プロクラブが監督、コーチ、選手らに期日までに給料を払わないことは考えにくい。しかし、外国では全く珍しくない。むしろ、給料を払ってもらえなかった経験を持たない者の方が珍しいのではないか。
以前、2005年から09年まで大分トリニータを率いて“シャムスカ・マジック”と呼ばれた奇跡的な快進撃を遂げ、ナビスコ杯(現ルヴァン杯)を制覇したペリクレス・シャムスカにインタビューした際のことである。