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藤井聡太二冠と伊藤匠四段18歳コンビの強さに驚き、名人戦を堪能… “観る将”になったマンガ家が描く「4月の将棋ハイライト」
posted2021/05/02 17:01
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by
Junsei Chida(illustration)
(1)将棋名人戦の雰囲気を味わいたくて……椿山荘に行きました
もともとはサッカーが好きで結婚した僕たち夫婦なんですが、2020年にいわゆる“観る将”になったんです。
そのきっかけは皆さんと同じく、コロナ禍によるステイホーム期間でした。最初は妻が藤井聡太王位・棋聖(以下二冠)の活躍ぶりを見ていて「じゃあ自分も見てみるかな……」と思って見ていたら、これが面白いこと面白いこと。将棋の一手一手はもちろん、棋士の皆さんが見せるキャラクターが漫画家としてはとても琴線に触れるんです。そこで“初心者・観る将の視点”として4月の将棋界を振り返ってみたいと思います。
まずは第79期名人戦です。将棋ファンの方は皆さんご存じかと思いますが、渡辺明名人に対して斎藤慎太郎八段が挑戦しています。
第1局は解説、AIの評価値を見て「せ、千日手あるかも??」(初心者なのですぐに気になってしまう)という膠着した展開をハラハラドキドキしつつ、最後は179手で斎藤八段の執念が実って逆転勝ちとなりましたね。初めての封じ手を誰に渡せばいいのかわからず、ちょっととまどう斎藤八段の姿、そして封じ手用紙に独特な「歩」の文字を記す記録係さんなど、2日制だからこその見どころがいっぱいありました。
椿山荘に行って“将棋に思いをはせる”楽しみ方
そんな名人戦の空気感を味わいたくて――当日、行ってきちゃったんですよ。第1局の会場となったホテル椿山荘東京に。まだ第1局(4月7、8日)は緊急事態宣言前ということもあって、せっかくなら、ということで椿山荘へと行き、妻と一緒にディナーを楽しみました。
「今頃お2人は中庭にある料亭で対局してるのね~」
そんな話をしながら優雅な時間を過ごせるのは、将棋観戦と出会ったからこそですね。なお、帰りのタクシーで財布忘れちゃったんですけど……。
イラストで描いても、2人のキャラクターは素敵です。マンガには必須の“ラスボス”のような風格漂う渡辺明名人、端整な顔立ちで女性ファンの人気が高いとお聞きする斎藤八段の対決構図は、なかなかマンガ的でもあります。第2局は渡辺名人が勝利して、1勝1敗のタイとしました。それだけに5月4、5日に開催される第3局もとにかく楽しみです。