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「能力は村上宗隆、安田尚憲に匹敵する」(スカウト談)…ドラフト1位候補の超高校級大型スラッガー阪口樂とは何者か?
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2021/04/30 11:02
スカウトたちがこぞって注目する岐阜第一の大型スラッガー阪口樂。甲子園出場はまだ一度もないが、その期待値は大きい
田所監督は阪口の人間性を「悪気のない態度の大きさがあってのんびり屋」と話し、「怠慢プレーするなとか当たり前のことくらいしか言うてないですよ」と笑う。そして「一番良いのは“自然成長”。自分で考えて良くなった方がいい。正直“恩師”なんて(言葉)いらんと思うてます」と、逸材がすくすくと成長する土壌を整えた。
印象的な出来事は2年の春前だ。フリー打撃で軽いスイングをしていた阪口に田所監督が「バーンっと振らんかい」とけしかけた途端、フルスイングした打球はライトフェンス後方にある高いネットを悠々と越える場外ホームラン。練習で使い古した球だったが、その反発力の低さなどものともしない打球だった。
田所監督は将来について「これまで見てきた中で素質はナンバーワン。ポテンシャルを分かっていただいたところで、じっくり育ってもらえば」と期待をかける。阪口も「日本を代表する選手になりたいです」と無邪気に笑顔で語る。
“天然素材”という言葉がピッタリな大型スラッガーは、これからどんな打撃でファンを魅了してくれるのだろうか。甲子園で、プロ野球で、世界の舞台で彼の大きな弧を描くホームランに熱狂するファンの姿が目に浮かび、今からそれが楽しみだ。