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ダルビッシュがリベンジ! “ピンチに強すぎて負けない最強左腕”カーショーに投げ勝った価値をもっと称えたい
text by
間淳Jun Aida
photograph byGetty Images
posted2021/04/28 11:04
ダルビッシュとカーショー。2人の連戦はメジャー屈指のハイレベルな投手戦だった
確かに毎回のように走者を背負っている。3回は2アウト一、三塁。7回は1アウト一、二塁のピンチ。それでも、ホームは踏ませなかった。カーショーと同じ7回を投げて、4安打1失点。雪辱を誓ったマウンドで、エース対決に勝利した。
カーショーに勝つことが難しいことを示すデータ
カーショーに勝つことが、いかに難しいのか。データが示している。今季14年目で178勝78敗。メジャーのデータを集めた「ベースボール・リファレンス」によると、勝率.695は1000イニング以上を投げた投手の中で歴代3位。現役ではチームメート、デービッド・プライスの勝率.654に大差をつけてトップだ。
しかも、勝率.795で歴代1位のアル・スパルディングは、シーズンで54勝を記録するなど、近代野球以前の1870年代にプレーした投手。1940年代に活躍し、勝率.717で2位に入っているスパッド・チャンドラーは、211試合で109勝と、362試合を投げているカーショーより大幅に登板数が少ない。
被打率の低さ、そしてピンチでの強さ
カーショーはメジャー4年目の2011年以降、勝率6割を切ったことがない。この間、最高勝率のタイトルを3度獲得している。“負けない投手”で居続けられる大きな要因は「被打率の低さ」と「ピンチでの強さ」にある。
通算被安打数を1試合(9イニング)あたりに換算すると、6.78本と驚異的に少ない。これはノーラン・ライアンの6.56本に次ぐ歴代2位の数字となる。通算被打率は.209。得点圏に走者を背負った場面では、同.196と強さを増す。さらに、注目すべきは走者別とアウトカウント別の数字だ。
上の表を見ると、2アウトからの投球が目を引く。被打率はほとんどが1割台中盤で、1割を切っているものもある。走者を出す場面が少なく味方の守備の負担を減らしていることに加えて、チームにダメージが大きい2アウトからの失点を防いでいることが、勝ち星を手にする理由になっているといえる。