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古賀稔彦「日本の柔道そのものだった男」~平成の三四郎逝く~
posted2021/04/02 07:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Takao Yamada
古賀稔彦こそは、戦後の日本柔道が生んだ「傑作」だった。
教科書から飛び出してきたような鮮やかな背負い投げは、日本が理想としてきた美しい柔道が現存することを世界に示した。
オリンピックでは金メダルと銀メダルをひとつずつ、世界選手権では1989年、'91年、'95年と3度の優勝を飾った。
「古賀名勝負」の双璧を挙げるとするなら、'90年の全日本選手権と、'92年のバルセロナ・オリンピックのふたつだろうか。
'90年の全日本ほど興奮した全日本はなく、柔道の醍醐味が凝縮された珠玉の大会となった。なにせ、体重75kgの古賀が100kg以上の相手に敢然と立ち向かい、投げ技を繰り出す。100kgが浮くのだ。