古賀稔彦の名言
素の自分……体力もない、技もない、ただ柔道着を着ただけの自分がそこにいた。
古賀稔彦(柔道)
2016/04/01
バルセロナ五輪の本番10日前、吉田秀彦との練習中に左膝じん帯を負傷。出場を危ぶまれる怪我をおして強硬出場し、見事金メダルを勝ち取った。4年後のアトランタ五輪では腰の怪我で得意の一本背負いができないという状態だったが、「僕は、心技体の一個一個が100%じゃなくて、3つで100という考え方を持ってるんで、体と技が10ずつしかなかったら、残り80%は気力でカバーしようと思ってた」と、決勝に駒を進めた。「試合開始から2分ぐらい経ったとき、消極的だということで、相手に反則がいくつか与えられたんですよ。そのとき、あ、楽勝だな、あとはなんとか相手の攻撃を凌げばいいやという気持ちになったんです。そしたらその途端に緊張感、気力がなくなって、素の自分……体力もない、技もない、ただ柔道着を着ただけの自分がそこにいたんですよね」。結局、判定で敗れ、銀メダルに終わった。
Number509号(2000/11/02)