濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
ジュリア「坊主頭」での出直し 元アイドルに敗れバリカン刈りも…悲壮感なき“闘う女”スタイルがカッコよすぎた
posted2021/03/16 11:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
ワンダー・オブ・スターダム王者にして昨年の女子プロレス大賞受賞者であるジュリアは、試合に敗れてチャンピオンベルトと髪を失った。
3月3日のスターダム日本武道館大会、その最終試合での中野たむとのタイトルマッチが「敗者髪切りマッチ」だったためだ。試合後、ジュリアはリング上で側頭部をバリカンで刈られ、控室であらためて丸刈りに。
もともと、髪切りマッチを要求したのはジュリアだった。たむとは昨年も抗争を展開し、決着戦と位置付けられる試合でジュリアが勝っている。しかしたむは武道館大会を前にあらためて対戦を表明。ならばとジュリアが“賭けるもの”を求めたのだ。
髪切りマッチは女子プロレスの伝統的因縁決着形式と言っていい。これまで何人もの選手が“伝説”を残してきた。ジュリアvs中野たむも大きな話題となり、最高峰のベルトであるワールド・オブ・スターダムの選手権試合を差し置いて大会の“トリ”を任された。
髪切りマッチは「女の命」を賭けるのか?
だが今回の一戦、少し引っかかったことがある。ジュリアが髪切りマッチを要求する際、たむに「女の命を賭けられるのか」と迫ったことだ。
さまざまな理由で髪を失う女性がいる。男子にも髪切りマッチはあるし、男女関係なく髪を無理やり切られるのは嫌だろう(部活動の丸刈り強制を例に出すまでもない)。逆に、女性だって気軽に坊主にできるくらいでいいという考え方だってあるはずだ。
髪切りマッチ経験者(敗者)のさくらえみは、『週刊プロレス』誌上でのコメントで髪切りマッチ=髪を切ることをペナルティとする試合は時代に合わないのではないかと指摘している。
「もうこのご時世、髪の毛の長さで女性の美しさを表すなんて世界的に合わないじゃないですか。(中略)太ってる、痩せてる、髪が長い、短いとか関係なく、ありのまま自分らしくいるのが美しいということを提唱しているのが、いまの女子アスリート界であったりとか」