【ウッズも復帰を】「死亡」の誤報も出た大事故から“歴史的なカムバック”…ベン・ホーガンの不屈の精神とは？

　自動車事故の2日前、タイガー・ウッズはロサンゼルス近郊のリビエラCCにいた。

　昨年12月に行った腰の手術の影響で戦列を離れる中、自身の財団が運営する大会・ジェネシスインビテーショナルのホスト役として来場。テレビ放送にゲストとして招かれ、表彰式では優勝者と笑顔で記念写真に収まっていた。

ホスト役としてリビエラCCを訪れていたタイガー・ウッズ　©Getty Images

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　2028年ロス五輪のゴルフ会場にもなる当地のクラブハウス脇、パッティンググリーンにはひとつの銅像が鎮座している。

　ベン・ホーガン（1912～97）は20世紀半ばに活躍したプロゴルファー。アーノルド・パーマーやジャック・ニクラスよりも前の世代のレジェンドは、リビエラCCで行われた1947、48年のLAオープン、48年全米オープンで優勝。その輝きは像とともに、コースに“ホーガンの庭”（ホーガンズアレー）の異名がつくほど讃えられている。

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　ウッズは2月23日の早朝、リビエラCCからは南に約30km離れた海岸近くの高級住宅街でひとりSUV車を走らせていた。カーブと急坂が折り重なる道路で自動車はコントロールを突如失い、中央線を越えて反対車線脇に落ちて大破。原因は現段階で、制限速度の大幅な超過という見方が強い。右足の骨が皮膚から飛び出す複雑骨折、足首の粉砕骨折といった重症を負い、搬送された病院で緊急手術を受けた。

衝撃を物語るウッズが乗車していたSUV車　©︎Getty Images

　その日、事故の報を受けたPGAツアーの大会会場は騒がしくなった。3時間の時差があるフロリダでは、午後のことだった。試合前の記者会見に呼ばれる選手たちがウッズへの言葉を求められる中、ダスティン・ジョンソンは自身のツイッターにこう投稿した。

「早く良くなって、ベン・ホーガンのようにカムバックしてほしい」

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　PGAツアーで歴代4位の通算64勝、うちメジャー9勝も史上4位のホーガンは、積み上げた勝利数だけでなく、自著『モダン・ゴルフ』はゴルフレッスン書のベストセラーと言えるほどの理論派であり、引退後クラブメーカーを設立するなどコース内外で活躍した。ただし、今回のウッズの悲報を受け、彼の名前が多くの人の頭に浮かんだのは、キャリアの半ばに命を脅かす交通事故に遭い、その後の復活劇がゴルフ史に残っているからである。

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