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「ジャンプの神様がもっとがんばれと」世界選手権ノーマルヒルで銅メダル獲得の高梨沙羅が語った頂点への距離感
posted2021/02/28 06:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
2月25日(現地時間)、ドイツ・オーベルストドルフでノルディックスキー世界選手権のジャンプ女子ノーマルヒルが行なわれ、高梨沙羅は銅メダルを獲得した。
2大会ぶりの表彰台。ただ、順位が確定し、テレビでのインタビューに応じるときも、その後の記者会見でも、その表情に笑顔はなかった。
前大会で実施されたノーマルヒル、団体、混合団体に、個人種目としてラージヒルが加わった。大会期間中という尺で考えると、どこかでつまずきがあっても立て直し、挑む機会が増えることになる。
これら4つの中で最初に実施されたのがノーマルヒルだった。オリンピックでの戦いがノーマルヒルのみであることを見据えれば、このジャンプは重要な意味を持つ。
試合は厳しい状況のもとで始まった。暖かな気候の中、ジャンプには不向きな追い風が吹き、ときにそれが強まり、あるいは弱まり、ジャンプ台の位置によって吹いてくる角度も変わる。
だから最後に落ちるように失速し、首をかしげる選手の姿も少なくはなかった。
悪コンディションで発揮される技術の差
それでもワールドカップで上位の選手には、コンディションをものともせず、距離を伸ばすジャンプが見られる。1回目が終わり、今季ワールドカップ3勝で総合4位につけるマリタ・クラマーが109.0mでトップに立つ。総合5位のエマ・クリネツ、総合2位の高梨が後に続いた。
迎えた2回目、ワールドカップでは目立つ活躍がないものの、平昌五輪金メダルの実績を持つマーレン・ルンビーが好ジャンプを見せ、首位に。
残るは1回目の上位3人。
高梨が踏み切り、放物線を描く。空中でバランスをとりながら、でも最後、ひと伸びに欠けた。100.0m、この時点でルンビ―に次ぐ2位。続くクリネツが1回目に続き安定したジャンプで100.5mと高梨を上回る。最後のクラマーは98.0mで4位に後退。高梨の銅メダルが確定した。
直後、テレビのインタビューでこう答えた。