2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
M-1本番直前に「泣いちゃうかもしれない…」錦鯉まさのりさん(芸歴26年)が相方に言えなかったひと言
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byM-1グランプリ事務局
posted2021/02/28 11:01
2020年M-1で史上最年長ファイナリストになった錦鯉の長谷川雅紀(左、49歳)と渡辺隆(42歳)
長谷川 覚えてない……。意外と覚えてないもんですね! ついこの間の出来事なのに。
――覚えてなさ過ぎるのでは……。
長谷川 うわっはっはっはっはっは。なんでだろう。
僕はセルフプロデュースができなかった
――渡辺さんに「この舞台まで連れてきてくれて……」と口にしないまでも、当然、そういう思いはあったんですね。
長谷川 この世界では、セルフプロデュースできる人間が強い、って言われるんですけど、結局、僕はそれができなかった。自分じゃ自分のことわからなくて。それをしてくれたのが隆なんで。
――錦鯉を結成されたのは2012年ですが、それ以前、長谷川さんは別のコンビでやっていたときもあるし、ピン芸人として活動していた時期もあるんですよね。前のコンビのときもボケだったのですか。
長谷川 ボケです。でも、いまいち持ち味を発揮し切れていなかった。ピン芸人をやっているときは、周りからは、ピンでもいけるタイプだね、みたいに言われたりしてたんですよ。めちゃくちゃな動きをしたり、大きな声も出していたんで。でも、隆と組むようになって、僕のパフォーマンスは隣でツッコんでくれる人がいないと笑いが起きないんだなって、つくづく思いましたね。平場(フリートークの場)のやり方も隆にアドバイスしてもらって、やっと自分の生かし方が見えてきた。隆は僕にとって演出家でもあるんですよ。
宝塚歌劇団「清く、正しく、美しく」の錦鯉バージョンですね
――渡辺さんは長谷川さんをどう演出しようとしたのですか。
渡辺 雅紀さんの言い方だと、僕がすごく事細かに教えてあげたみたいに聞こえるかもしれませんが、僕が言ったことは3つだけ。「明るく、楽しく、元気よく」。
長谷川 宝塚歌劇団の「清く、正しく、美しく」ってあるじゃないですか。あれの錦鯉バージョンですね。
渡辺 天下の宝塚に失礼だよ。レベル的にウンと下だから。言われてること、幼稚園児と一緒だから。
長谷川 うわっはっはっはっはっは。
――いや、素晴らしいモットーじゃないですか。
長谷川 でも、本当に言われてました、それ。
渡辺 実際にこれだけ言ってたらM-1の決勝までこれましたから。
ザコシショウ「大人し過ぎない?」
――今のスタイルに行き着くまでには、所属先であるSMA(ソニー・ミュージック・アーティスツ)のハリウッドザコシショウさんのアドバイスもあったとか。