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北京五輪でメダルを獲るために…鍵山優真が国体の公式練習で見せた、新・4回転ループの真価とは
posted2021/02/07 17:03
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Hiroyuki Nakamura
国体の少年男子で、ジュニアの世界記録を上回る270.82点で1位となった鍵山優真。3月の世界選手権に向けては、初出場ながら「羽生選手が自分と同じ歳のときに世界選手権でメダルを獲ったなら、自分も出来なくない」と宣言する負けん気の強さも魅力の17歳だ。
しかも来季にそなえ、新たに2種類の4回転に手応えを感じているという。
今季、鍵山は4回転2種類を武器に戦っている。一方で、羽生、宇野ら世界トップの選手は4種類を成功しており、試合によって構成を変える。今季の全日本選手権では、羽生も宇野もフリーでは4回転を「3種類4本」入れた。つまり鍵山が現実的に世界トップで戦うには、3種類目、4種類目の4回転を身に付けることが必須となる。
その布石ともなるのが、今季挑戦している「3回転ルッツ+3回転ループ」だ。4回転とは関係のない、もともと跳べるジャンプの組み合わせのように感じるかもしれない。しかしこの連続ジャンプは、新たな4回転へとつながる大切な道しるべだった。
鍵山によれば、このジャンプを入れることになったきっかけは、気軽な遊び気分だったという。
「1回目でいきなり跳べちゃった」
「最初はセカンドループ(連続ジャンプの2つ目を3回転ループにすること)で遊んでいたんです。今季はプログラムのなかに3回転ループが1つも入っていなかったので、(コーチである)父に『試合では入れないけど練習で、セカンド(連続ジャンプの2つ目)に3回転ループ入れてみていい?』って提案しました。それで曲かけをしてみたら、1回目でいきなり跳べちゃった、というのが始まりでした」
もともと、連続ジャンプの2つ目に3回転ループを入れることが出来る選手は少ない。着氷した右足ですぐさま跳びあがるため、筋力で跳ぶというよりは、足首・膝・股関節のバネを生かして、ボールがバウンドするような跳び方をする。膝のやわらかさに定評がある鍵山だからこそ、“遊び”でやってみたら成功したのだ。