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羽生善治との黄金カード再び! “ゲームの天才”森内俊之50歳、ついにAI導入で「明らかに将棋の理解度が…」
posted2021/01/27 11:01
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Shota Matsumoto
森内俊之対羽生善治という黄金カードが間近に迫っている。
1月28日の棋聖戦2次予選3組決勝が、引退後に十八世名人と十九世名人を襲名する2人の激突となったのだ。棋聖戦の挑戦権を争う16人による決勝トーナメント入りをかける大一番。その先には藤井聡太二冠がタイトルホルダーとして待ち構えている。
2人の対戦は'18年5月22日の銀河戦以来途絶えてしまっていた。
直近の対戦成績(といっても'14年から'18年に渡るものだが)は羽生の12勝1敗と傾いたものになっているが、名人位をかけて戦った通算9セットの戦績は森内の5勝4敗。最高の栄誉をかけた七番勝負で、七冠独占をも成し遂げた羽生に勝ち越した棋士が存在したことに改めて驚いてほしい。ちなみに通算の対戦成績は、羽生78勝、森内58勝。直近の極端な数字を差し引きすれば、実力拮抗が伝わるだろう。
不甲斐ない将棋に腹を立て25キロ革靴で帰宅
森内はとにかく負けず嫌いだ。
まだ幼稚園児だった彼が、母とオセロをして負けたのが悔しくて、テーブルの下に潜って延々と泣き続けて困らせたという逸話もなかなかだが、16歳でプロ棋士となってからの3年目、不甲斐ない将棋を指してしまった自分に腹を立て、渋谷区千駄ヶ谷の将棋会館から横浜市青葉区の自宅まで、スーツに革靴のいでたちのまま走って帰ったという話もすごい。最短の経路を選べたとしても約25キロである。
「まだ10代だったとはいえ、アホでしたね」
50歳になった森内は、当時を思い出して恥ずかしそうに顔を赤らめていた。