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【2021年ドラフト隠し玉】「幕張のアジャ」がもう1人いた? 名将の助言で幕張総合・村山亮介が急成長!
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2021/01/27 06:00
高層マンションをバックに写真に収まる幕張総合3年・村山亮介。昨年は自信なさげな言葉が多かったが、顔つきも変わってきた
数々の右打ちの強打者を育ててきた金沢監督の目にも留まり、「硬さはあるけれど力がある。股関節や膝などそれぞれの関節を上手く使えば大化けする可能性がある」と熱心に指導を受けた。
すると、そこから村山は本塁打を量産するようになる。
数カ月で15本近くの本塁打を放つと、11月下旬に行われた明秀日立との練習試合では、金沢監督の目の前でライトオーバーの三塁打と、右中間に打った瞬間分かる本塁打を放つ最高の恩返しをして見せた。しかも相手は強豪大学に進学確実で、プロも注目する左腕の飯田真渚斗(まなと)。金沢監督いわく「どことやっても10個は三振を獲る。多い時で21個の日もあったくらい」と話す好左腕だ。
第1打席の滞空時間の長いセンターフライから素質を感じさせたが、試合終盤での飯田からの長打連発には度肝を抜かされた。
村山が自信を掴んだきっかけ
一方でその試合中の捕手としての姿には物足りないものがあった。
近年確実に力をつけている新進気鋭の高校にあっても、その素質は村山がチームで一番。ただ、捕手としてのプレーからはチームを牽引するような姿が見られず、筆者の目からしても、良い打撃を持っているのにもったいない……と感じさせるほどだった。その後に学校に伺い、本人に志望進路を聞いても「野球を続けられれば……」と控えめ。
ところが年が明けた1月。再び幕張総合を訪問すると、村山の顔つきは精悍なものになっていた。11月下旬から年末にかけてプロ球団のスカウトや強豪大学の監督が数名訪れた際、その前でパンチ力満点の打撃を遺憾無く発揮し、打力を絶賛されたことで大きな自信を掴んだのだった。
またその中で、かねてより課題だった足の遅さとフットワークの重さを、この冬は体を引き締めるために長距離を走ったり、俊敏性をつけるための短い距離のダッシュを繰り返すなどトレーニングを積んできた。その効果もあって、フットワークもキレが出るようになっていた。
打撃も「軸足をしっかり使って、トップとインパクトまでの距離を作ることを大事にして、そこからしっかりボールにぶつけるイメージです」と金沢から教わった理論を変わらず黙々と実践。素振りやティー打撃のスイングひとつから、その意識をしっかりと持っていることが分かるほどだ。秋口に130キロだったスイングスピードも今や152キロにまで成長を遂げている。