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小柄な大学生がジャージを脱ぐと…体操・橋本大輝の圧倒的な練習量と肉体美「強気じゃないと、勝てないかな」
posted2021/01/25 11:00
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
Sunao Noto
「最近プロスピ(アプリのプロ野球スピリッツ)にハマって、野球選手に興味を持つようになりました。地元のロッテでいうと、石川歩選手とか、井上晴哉選手とか、藤原恭大選手とか」
ジャージ姿で柔和に語る出で立ちは、そこらへんにいる少し小柄な大学生である。しかしそのジャージの中にはご覧の通り、体操選手らしい一切の無駄のない肉体美が秘められている。
五輪メダリストの内村航平、白井健三が不在となった2019年の世界選手権で大ブレイク。高3で初出場ながら団体予選4種目で日本勢トップの得点を記録。決勝でも高難度の技を連発し、団体銅メダル獲得に大きく貢献した。
昨年10月の学生選手権では個人総合を初制覇し、4冠に輝いた。そして迎えた12月の全日本選手権。活躍が期待されたが、5位に沈んだ。
「予選の時点で負けていたと思います。ものすごく緊張して。変なところでミスするんじゃないかって、ネガティブになってしまいました」
「まわりから『大口叩くな』って(笑)」
大会前は、「予選を1位通過して、決勝も1位で終わりたい」など、強気なコメントが目立った。気負いすぎていたのでは? と聞くと、ニヤリと口角を上げた。
「まわりから『大口叩くな』って言われるようになりました(笑)。自分は覚えてないんですけど、幼い頃、兄の体操を見ながら、なんでそこ失敗するんだよ! って言ってたみたいです。直した方がいいのか、直さなくていいのか考えたりもしますけど、気持ちが一番だと思うんで」
モットーは「自分を信じる」。信じるために自分に課すのは週6日の圧倒的な練習量。「結局、積み上げた人間が強くなるので」と体操漬けの日々を全く厭わない。五輪代表選考を大きく左右する4月の全日本個人総合選手権に向けてさらなる鍛錬に励み、そして心を研ぎ澄ます。
「強気じゃないと、勝てないかなって思います」
橋本大輝Daiki Hashimoto
2001年8月7日、千葉県生まれ。2人の兄の影響で6歳から体操を始めた。得意種目は鉄棒、あん馬、跳馬。'19年世界選手権で白井健三以来となる高校生で代表入りし団体銅メダル、個人鉄棒は4位。昨春、市立船橋高から順天堂大学に入学。164cm、54kg。