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“少女から大人”へ 15歳アリサ・リュウがフィギュア全米選手権で見せた変化…演技も容貌も
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/01/19 11:01
全米選手権で大人っぽい演技を披露したアリサ・リュウ
さなぎが蝶に変身したような表現力の開花
スケーティングが以前よりもきれいになっただけでなく、身体の使い方が以前とは全く違う。四肢をのびやかに使って、中途半端に終わる動作がなくなり、1つひとつの動きがきれいに完結されている。首の位置、顔の表情まで、文句のつけようがなかった。
最後に彼女を見たのは、昨年3月初頭にエストニアのタリンで開催されたジュニア世界選手権だったが、1年足らずの間に全く別なスケーターになっていた。
大技こそ見せなかったが、まるでさなぎが蝶にかえったかのような完成度の高さ。この劇的な成長の理由は、一体何なのか。
鍵を握る新コーチ、マッシモ・スカリ
「マッシモはアイスダンサーなので、スケーティングを集中して練習しました。これまであまりスケーティングに注意をはらってこなかったけれど、今季は怪我でジャンプができなかったし。また振付をこなすことに、すごく時間をかけました」
リュウが言うマッシモとは、マッシモ・スカリのこと。2020年の春、リュウは幼少時から指導を受けてきたコーチを離れて、カナダのリー・バーケルとローリー・ニコルに師事することを決意。だがパンデミックで国境が閉ざされたため、オンラインで遠距離指導を受ける傍ら、2019年12月からリュウの元コーチの依頼を受けてアシスタントをしていたマッシモ・スカリが、日々の指導をすることになったのだという。
イタリア出身のスカリは、パートナーのフェデリカ・ファイエラと欧州選手権銀メダルを2度、世界選手権銅メダルを1度手にしたキャリアを持つ。豊かな表現力で人気の高かった選手で、現在では樋口新葉などの振付師としても知られている。
「アリサの指導を始めたのは、6月からでした。カリフォルニアはパンデミックの影響が大きく、使えるリンクを探すことが難しかった。最初は公園で、ローリー(ニコル)にオンラインで振付の指導を受けたんです」
ズーム会見でそう語ったスカリは、アリサにバレエ、ピラティス、そしてヨガのクラスも紹介した。