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50歳羽生善治九段に聞く「将棋はスポーツ?」問題 34年前から実感していた“棋士とアスリートの共通点”とは
posted2021/01/07 17:03
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Masaru Tatsuki
「今後も、あと少なくとも5年は強くなり続けられるような気がしています」
この言葉をNumberの巻頭インタビューで発したのは、2021年の藤井聡太二冠――ではなく、1994年の羽生善治五冠。羽生は当時23歳、初の名人位を獲得した直後だった。
羽生が誌面を飾ってくれたのは、毎号、注目すべき若手アスリートを紹介する連載「the face」。このことを思えば、昨年9月に出した小誌初の将棋特集へと続く流れは、既に26年前に始まっていた、ともいえる。
しかし、いま振り返ってみると、1994年の羽生が口にした「少なくとも」はあまりにも謙虚な言葉だったことがわかる。それからも長らく斯界の第一人者であり続け、2020年末には、50歳で竜王戦七番勝負に臨み、前人未踏のタイトル戦通算100期へと挑んだのだから。
25年前の羽生が語った「将棋に似ているスポーツ」とは?
羽生は翌95年にもNumberに登場(山崎浩子さんのインタビュー連載「マイ・フェア・ピープル」)。そこでは、将棋とスポーツの共通点について、こう語っていた。
――スポーツ観戦もお好きだとか。
「ええ、サッカーとかテニス、バスケット、ラグビーにF1といろいろ。7割ぐらいは単なる趣味で、あと3割は自分の将棋のためですね。役にたつ部分も結構あるんですよ。集中力を高めるとか、流れを変えるとか、あるいはその場にどうなじむかとか、そういうのは全部共通してるんですよ。だから観てて非常に面白いですね」
――特にどのスポーツに似てますか。