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「イタリアがバルサのようになった!」と現地メディア 攻撃重視の流れで“ロッシ2世”は生まれるのか
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2021/01/07 17:00
守備の文化が色強いとされるイタリアだが、アグレッシブなスタイルはカルチョの国にも根付いている
82分、右サイドバックのアレッサンドロ・フロレンツィがハイボールの競り合いに勝ち、味方ボールを繋いでから1分30秒ほどパス交換が続いた。そして、ポーランドの守備陣が間延びしたのを確認してインシーニェがラストパス。右サイドのオープンスペースに走り込んだドメニコ・ベラルディがゴール。この間のパス数は30本。「イタリアはバルセロナのようになった」と地元メディアは興奮して捲し立てていた。
「サッカーはこの10年間で変わった」
「サッカーはこの10年間で変わった。テクニックのある選手を起用し、スペクタクル性を重んじるようになった。よって私が再建を任された時も、違うメンタリティを植え付けるところから再出発を図りたかったんだ」
『イル・ティレニア』のインタビューでマンチーニ監督はそう語った。2年にわたる間でそのコンセプトはチームに浸透したということだが、活動時間が十分に取れなかった中でクオリティを上げた理由はもう一つある。
招集した若手がそれぞれのクラブで主力となり、しかも攻撃的なプレーが展開できたということだ。
アチェルビとバストーニの若手CBコンビが定着
そんな若手の筆頭と言えるのがセンターバックの2名だ。ジョルジョ・キエッリーニやレオナルド・ボヌッチなどのベテラン組が故障する中で、フランチェスコ・アチェルビとアレッサンドロ・バストーニのコンビが主に定着し、強豪のFW相手にも結果を出した。
アチェルビはラツィオにおいて、21年ぶりのUEFAチャンピオンズリーググループステージ突破で守備の重鎮となっている。バストーニはインテルで21歳にして3バックの一角として同じくCLを経験した。2人とも、持ち味は後方からのビルドアップ。パスワークを支える質の高いパス出しを日頃から所属クラブで行い、代表にも持ち込んだというわけだ。
一方、中盤と前線ではセリエAの昨季後半戦、そして今季の前半戦で上位につけていたサッスオーロの選手がそのまま代表に定着している。
右ウイングとしてフィニッシュワークに絡むベラルディ、そして、インサイドMFとして長短のパスを自在に使い分けるマヌエル・ロカテッリは、ロベルト・デゼルビ監督のもと、サッスオーロでポゼッション主体の超攻撃サッカーを展開している。代表のコンセプトと合致したプレーを展開しているので、スムーズに戦術を取り込むことが可能なのだ。