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「イタリアがバルサのようになった!」と現地メディア 攻撃重視の流れで“ロッシ2世”は生まれるのか
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2021/01/07 17:00
守備の文化が色強いとされるイタリアだが、アグレッシブなスタイルはカルチョの国にも根付いている
以前まで、彼らは代表に招集されても主力になりきれなかった。しかしそれぞれが所属クラブで出場機会を伸ばし、クオリティを上げることで代表でも活躍するようになった。インテルやラツィオは国際試合を闘い、サッスオーロはセリエAで上位にいる。リーグ戦、国際カップ戦で研磨してきたことが、選手たちの経験値アップに直結しているのだ。
プランデッリ元監督がこぼしていた“愚痴”
振り返れば、パスワーク主体の攻撃サッカーへの転換を試みたのは、マンチーニ監督が初めてではない。2010年に就任したチェーザレ・プランデッリ監督はスペイン代表をモデルとした技術重視のサッカーを取り入れ、2014年から2年間引き継いだアントニオ・コンテ監督は3連覇したユベントスのアグレッシブなサッカーの実現を図った。だが、クラブシーンでの人材育成が追いつかず頓挫の憂き目にあった。
プランデッリ監督は在任中に、「クラブが若手を育てないから我々が代表の練習試合に呼んで育てているのだ」という愚痴をこぼしていた。
あれから少し時間はかかったが、そんな流れは変わりつつある。クラブシーンで攻撃的サッカーが重んじられるようになり、失点のリスクを恐れる傾向の強かったイタリアの各クラブも追随。人材育成の傾向が10年単位で変わってきて、今があるのだ。
冨安のゴラッソをアシストしたオルソリーニにも注目
昨年12月23日の第14節ボローニャvsアタランタ戦で、冨安健洋のビューティフル・ゴールをアシストしたリッカルド・オルソリーニも、代表定着を目指す若手の1人だ。
「今は若い選手もクラブでチャンスを得られるようになって、傾向が変わってきている」と言っていた。
2020年に顕著になったイタリアサッカーの新たな展開が、2021年にはどう発展するのか。新時代のパオロ・ロッシのようなタレントを生み出すことができるのか。
新たな転換期になりそうな予感は十分にある。