「よくそういったことを言ってもらっていたのに、期待に応えることはできませんでした。もう退任してしまいましたが、ラミレス前監督には今シーズン、結果を残した姿を見てもらいたいと思います」

　また入団以来、仲の良い佐野が昨季キャプテンに抜擢され、さらに首位打者という驚愕の活躍をしており、その事実も神里をやる気にさせているという。

「まさかあそこまでやるとは思っていなかったし、すごいなと感じる一方、悔しい思いもあります。僕もやらなければという気にさせてくれたし、いい刺激になっていますよ」

　神里は以前「1番・センターにこだわりたい」と語っていたが、今もその気持ちは変わらないのか？　そう尋ねると、おもむろにかぶりを振った。

「いいえ、打順に関してはもうこだわりはありません。ただセンターという守備位置が落ち着くというのは確かなので、そこにはこだわっていきたいですね」

「勝負の1年にしたいと思います」

　昨季、打順は4番5番以外のすべてを経験し柔軟に対応することができた。また、守備位置における打率では、レフト（.296）やライト（.237）よりも、守り慣れたセンター（.369）のときに安定した高い数字を残している。また今季、両翼が佐野とオースティンと予想されることからも、守備範囲の広いセンター神里は欠かせないだろう。

　とはいえ、梶谷が去ることで生まれた穴を埋めるのは神里だけにあらず、そこは当然、有望な若手選手たちとの競い合いとなる。重要なのは昨年調子を上げきることができず梶谷に出し抜かれたキャンプからオープン戦の時期になるわけだが、そこを指摘すると神里の眼の色が変わった。

「キャンプから勝負ですし、毎年オープン戦では打てていないので、そういう意味では仕上げを早くすることが必要なのかなと。キャンプ前の自主トレは練習量を増やして、いろんなことに挑戦していきたい」

　そして決断した口調で力強く言うのだ。

「積み上げてきたものをいかに発揮することができるか、勝負の1年にしたいと思います」

　DeNAには神里和毅がいる――。

　多くの人たちが抱くこの思いを実現するためにも、ぜひ躍動してもらいたい。