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石川祐希が語る“伝説の東福岡戦”と“6冠達成”の要因 無観客の春高に挑む高校生へ「全力で楽しんで」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byJun Tsukida/AFLO SPORT
posted2021/01/04 11:03
星城高校時代は1年生の頃からレギュラーとして活躍した石川祐希。当時の経験はバレーボール人生の大きな糧となっている
1年時からレギュラーに抜擢され、2年時には他の同学年のメンバーらとインターハイ、国体、春高バレーの3冠を達成。そして高校最後の1年は、エースとしてだけでなく、キャプテンとしてもチームを引っ張った。
「チームの中心となる選手がみんなバレーに対してストイックで、しかもいろいろなタイプの選手がバランスよく揃っていたので、チームはまとまっていましたし、同じ方向を向いて戦えていました。また、何かを相談すればすぐに動いてくれ、積極的に助けてくれたので、(キャプテンとして)苦労したと感じることはありませんでした。
ただ、1、2年生の時とは違って、自分のプレーだけにフォーカスすればいいというわけではなかったので、練習中や試合前のチームの状態には注意していました。“この雰囲気で練習をしていていいのか”と感じればそれを改善するような声掛けをしたり、下級生のモチベーションを気にしたり。1つひとつのプレーだけではなく、練習全体を俯瞰してみるようになりました。そういうことがキャプテンとして必要で、勝ち続けるためにも必須だと感じていたので」
「奇跡のチーム」「奇跡の世代」と呼ばれるほど高い実力を備えた石川らの世代。周りからは結果を残して当然という目で見られ、タイトル獲得に大きな期待が寄せられた。最後の春高まで続く公式戦連勝記録も、「連勝を止めちゃいけないというような気持ちはなかった」と石川は言うが、それでも少なからずプレッシャーは感じていた。
“6冠”の布石となった国体準決勝
5冠目となった2013年10月の国体では6冠達成の布石となるような出来事もあった。
「準決勝で福岡選抜に負けそうになったんですが、その試合前、隣で福岡選抜の選手たちが練習をしていたんです。彼らはすごく集中していて。決して気が抜けていたわけではないのですが、少し気の緩みが見えた僕らに竹内(裕幸)先生が活をいれたんです。そのまま試合に臨んだのですが、1、2セットを落としてしまって。最終的にはフルセットで勝利することができましたが、いくら勝ち続けていても、そんな簡単に勝てるような試合はないということをあらためて気づかされましたね」
福岡選抜との準決勝。星城は1、2セットを連取され、崖っぷちに追い込まれた。誰もが「もう終わりなのでは……」と諦めかけた瞬間、石川が3、4、5セットと爆発し、フルセットでこの試合をものに。その後、決勝では大阪府選抜を下し、5冠目を達成したのだった。