筆者の質問に「アリガトウゴザイマス」と日本語で答えた際の表情を見ても、カネロは日本贔屓という評判は間違いなさそう。世界的にリスペクトされる帝拳ジムの本田明彦会長が、レイノソと良好な関係を築いているのも好材料だ。グローバル戦略はDAZNの希望でもあるだけに、カネロ対村田戦は有力なオプションの1つではあるのだろう。この試合にもウェイトをどうするのかというネックがあるが、それも致命的な問題にはなるまい。

　前述の通り、今のカネロにとって、日本での試合がプライオリティというわけではもちろんない。当面はあくまでスーパーミドル級での統一戦、ゴロフキン戦が最有力オプション。さらに母国メキシコで来年中にもWBA指名戦を行うというプランも浮上しており、村田戦の具体化があるとしても早くて2021年後半だろう。

　現状、村田戦により近い位置にいるのは、同じく日本行きを希望しているゴロフキンの方。18日のシェルメタ戦後、米メディアもゴロフキンの次期相手候補としてカネロと村田を挙げていた。DAZNはこのカードにも熱心で、カネロが来年5月にスーパーミドル級王者との対戦を選んだ場合、日本の大会場にフルに近い客入れができる状況が整っていればという条件付きながら、夏頃までにゴロフキンのダンスパートナーとして村田に声がかかることは考えられる。

2021年、日本リングを震撼させる朗報は届くか？

「It takes two to tango（タンゴは1人では踊れない）」

　英語にはそんな言い回しがあるが、カネロ、ゴロフキンという中量級の両巨頭も、日本でメガファイトを行うには村田の存在が不可欠であることはもちろん理解している。“約束の地”のリングに立てるのは、現在33歳の村田がトップ戦線にいる期間のみ。そんな状況を考えれば、現時点の最優先事項ではないとしても、いつ急展開があっても驚くべきではない。2021年、日本リングを震撼させる朗報が届く可能性は十分にある。