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村田諒太と対戦? PFPランクで井上尚弥超え“世界最強・カネロ”は「東京でも試合をしたがっている」
posted2020/12/23 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
30歳になったエリート王者の円熟味を感じさせるパフォーマンスだった。
12月19日、テキサス州サンアントニオのアラモドームで行われたWBA世界スーパーミドル級王座統一戦、WBC同級王座決定戦で、正規王者サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)がスーパー王者カラム・スミス(イギリス)に3-0(119-109のジャッジが2人、117-111が1人)の判定勝ちを収めた。スーパーミドル級でも実績では最高級の王者を下し、すでに分厚いキャリアを誇るカネロは勲章をまた1つ増やした感がある。
「私はどんなスタイルにも適応できる。今回はスミスに適応した。身長差は問題ではなかった。KOできればよかったが、それでも結果はハッピーだ。攻守両面で満足しているし、良いパフォーマンスだったと思う」
試合終了から約2時間後、ようやく会見場に登場した4階級制覇王者は終始明るい表情でそう述べていた。
“支配的”と呼んで差し支えない戦いぶり
試合前には20cm近い身長差が話題になったが、短躯のメキシカンはジャブの差し合いで序盤から打ち勝ち、あっさりと距離を制圧。ボディへのフック、顔面へのアッパーが有効で、同時にディフェンス意識も常に忘れず、回転力で大きく劣るスミスに付け入る隙を与えなかった。
全パンチの43%、パワーパンチのうちの57%をヒットさせたカネロの的確な攻撃の前に、この日まで27戦全勝(19KO)だった英国人は為す術がなかった。終盤のスミスは完全にサバイバルモードだったためにKOこそ逃したものの、パンデミック中に集まった約1万2000人のファンの前で“支配的”と呼んで差し支えない戦いぶりを披露した。
こうして攻防兼備の強さを改めてアピールし、各媒体が発表するパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングでもカネロは改めて高く評価されるはずだ。
井上尚弥を抑えて、「PFPランキング」堂々の1位
今回の試合前の時点で、最も権威のあるリングマガジンのPFPランキングで堂々の1位。日本が誇る井上尚弥(大橋)が2位につけており、ジェイソン・マロニー(オーストラリア)を圧倒した10月31日の試合後、ランキング選考委員の中からは井上を1位に推す声も少なからず出ていた。ただ、リングマガジンの階級ランキングではスーパーミドル級王者として認められていたスミスを寄せつけなかった後で、カネロの1位はしばらく安泰かもしれない。