イチ流に触れてBACK NUMBER
「MLBはいま、コンテストをやっている」イチローが高校球児に伝えたかった“日本野球の美しさ”
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKYODO
posted2020/12/14 17:01
3日間にわたって智辯和歌山高校の球児を指導したイチロー。超イチ流の極意の数々を伝授した
考える野球こそ、日本野球の伝統であり美しさ
だからこそ、考える野球の感性を残している高校野球には、自らの言葉と実践でその重要性を伝えたい。上手下手は二の次。大事なことは最善の結果を導くためには何が必要なのか。そのためにはどんな鍛錬が必要なのか。自身で『考える力』を身につけることが未来の自分のためになる。そんな思いでイチローさんはグラウンドに立った。
実際の指導では、判断力が多く求められる盗塁部門で多くの言葉を残した。
「右脚の(曲げる)角度をキープしてスタートを切りたいけど難しい。切る角度がある、それぞれある。それを探していく」
「なるべく動きはシンプルな方がいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」
「はっきり(投手の)癖が出ていればいける。基本的には(癖は)ないものとして、醸し出す雰囲気で感じて欲しい。それは隠せないので」
「見て」「感じて」「表現する」。そのための技術追求。考える野球こそ、日本野球の伝統であり美しさだとイチローさんは信じている。
「僕が伝えられることはこの3日間で伝えたので。期待しています。頑張って」
現役引退から1年半強。ようやく始めることのできた日本球界への恩返し。イチローさんから若い世代へと、日本野球の素晴らしき伝統は確実に伝えられた。