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「首を切っていたかも…」F1バーレーンGP“車体真っ二つで大炎上” お手柄ヘイロー、求められる原因究明
posted2020/12/04 17:02
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
起きてはならない事故が発生した。
第15戦バーレーンGPの決勝レースで、スタート直後に激しいポジション争いを行なっていたロマン・グロージャン(ハース)がダニール・クビアト(アルファタウリ)と接触。コントロールを失ったグロージャンのマシンはコースアウトし、ガードレールに時速221kmという高速で激突。その衝撃で車体はグロージャンを乗せたモノコックとその後ろに搭載されているパワーユニット部分から真っ二つに裂け、大炎上した。
幸いグロージャンは自力でコクピットから脱出に成功し、最悪の事態は回避。その後、グロージャンは検査のためにヘリコプターでバーレーン国防軍軍事病院に搬送された。衝突時の衝撃は53Gとも言われているが、幸い骨折などのケガはなく、手に負ったやけどの治療を行っている。
「炎に包まれている光景を見て急に心配に」
レースはすぐさま赤旗中断となり、大破したマシンの撤去とガードレールの修復作業などを行い、約90分後に再開された。しかし、多くのドライバーが精神的に複雑な思いで、レースに臨んでいた。
「ロマンがぶつかってきたときは少し怒りを感じたけど、直後に彼のマシンがクラッシュして炎に包まれている光景がミラー越しに見えて、急に心配になり、彼の無事を願っていた」(クビアト)
「今日のレースで一番大事なことは、グロージャンがマシンから歩いて出てきたことだ。他のことはどうでもいい」(エステバン・オコン/グロージャンと同じフランス人)
「ガードレールにめり込み、炎に包まれたマシンから自力で脱出するなんて、なんという素晴らしい男だ。彼が早く帰宅し、マリオン(妻)と子供たちに会えることを祈っている」(ケビン・マグヌッセン/チームメート)
「僕は今日、表彰台を逃したけど、このようなことが起きた日には、それは大きな問題ではない。一番大事なのは、グロージャンがいまも僕らとともにいることだ」(セルジオ・ペレス/3番手を走行しながら、残り4周でリタイア)