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「マラドーナの表紙を作るために、僕は…」ディエゴは危なっかしくて、未熟で、魅力的だった
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2020/12/04 11:00
いわゆる“破天荒型”のフットボーラーは今後数少なくなるだろう。文字通り自由奔放なマラドーナは魅力的だった
その要求額が“桁違い”だった
インタビューに謝礼は支払わないのが原則だった上に、その要求額は桁が1つ違っていた。泣く泣く断念したその号は、表紙だけが一人歩きして、とくに若い層に刺さらず、結果的に売り上げもいま一つだった。それ以降、マラドーナが表紙を飾ったことは、僕が編集部を外れた後も、たぶん一度もないはずだ。
「マラドーナの表紙を作るために、僕は」
けれど、後悔はしていない。当時、表紙を作ってくれた、僕より10歳ほど年下のデザイナーの言葉が、強く印象に残っている。
「本当に嬉しいんです。マラドーナの表紙を作るために、僕は雑誌のデザイナーになったようなものですから」
マラドーナを知らない世代は、これからさらに増え続ける。けれど、その記憶があっけなく消え去ってしまうほど、彼がこの世界に遺してくれたものは小さくない。リオネル・メッシもこう言っている。
マラドーナは、「永遠」なのだ。