サムライブルーの原材料BACK NUMBER
年俸「120円」の42歳Jリーガーが月20万円の個人スポンサーを断ったワケ 監督は「考え方が違うんだよなあ」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/08 11:02
対談において、プロとしての報酬に対する見解が異なったシュタルフ悠紀リヒャルト監督(左)と安彦考真
メンバーから外れても「落ち込む時間がもったいない」
――「Jリーガー安彦考真」も残り1カ月半になりました。今、どんな思いですか?
安彦 いやもう、1日1日を120%でやるしかないって、それだけですよ。シュタルフ監督という人は情で(試合のメンバーを)選ぶタイプじゃない。だからこそ選ばれたときにメチャクチャうれしいんです。
最近はずっとメンバーから落ちていますけど、落ち込む時間がもったいない。逆にこういうときこそ人間って成長できると思うので。不貞腐れるのは簡単。その気持ちに抗って、チームに笑いをつくったり、選手にアドバイスをしたりすることが求められているとは思うので。
もしかしたらこのまま出番はないかもしれない。ゴールも奪えないかもしれない。もしそれで終わったとしても、何もないサッカー人生ではないと思うんですよ。最後苦しかったけど、人として成長できたよなって大声で言えるように、残された毎日を120%でやれるように過ごしていきたいと思っています。
「努力の表現」が下手な選手がやるべきこととは?
シュタルフ 「監督は情に流されない」って言ってくれましたけど、僕も人間ですよ。多少は情には流されるところもありますよ。同じポジションで同じようなレベルの選手がいれば、頑張っていない選手より頑張っている選手にチャンスの回数が多いのは間違いのないこと。
ただチャンスをつかむところには結果と実力が伴ってないといけない。ただ最近、気づいたのは、頑張っていないって言っていること自体が上から目線だな、と。アビさんみたいに頑張っているのが分かりやすい選手もいれば、表現が下手なだけの選手もいる。
ただね、選手にこれだけは分かってほしい。自分が見えるもの以外、たとえばアイツ頑張っているんだろうなって憶測で評価してしまったら、ブレてしまう。だから努力の表現が下手な選手は、監督が見えるように表現を勉強してもらいたい。全然関係ないけど、僕小さいころから15年くらいピアノ、やっていたんですよ。当時はまあまあうまかったです。
安彦 えっ、そうなの? 知らなかった(笑)。