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藤井聡太二冠が3連敗 “軍曹”の秘策の前に今期三冠の夢潰える 「通算成績が8割3分を超える棋士が…」王将戦挑決Lの恐ろしさ
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKyodo News
posted2020/10/27 08:00
藤井聡太二冠(左)を撃破した永瀬拓矢王座。さすがの実力者だった
将棋の第70期王将戦挑戦者決定リーグ3回戦、藤井聡太二冠(18)と永瀬拓矢王座(28)の対局は26日に東京の将棋会館で行われ、164手で永瀬王座が勝利。藤井二冠はリーグ戦0勝3敗となり、今期中の「三冠」の可能性が潰えた。
“軍曹”こと永瀬王座の秘策だった。ABEMAの非公式戦トーナメントではチームメートとなって優勝を経験し、研究仲間でもある藤井二冠に対して、永瀬王座が取った作戦は「四間飛車」。永瀬王座が振り飛車を採用するのはなんと3年ぶり。「四間飛車」はツイッターのトレンドワードに入るほどだった。
その後は一進一退の攻防となったものの、最後は永瀬王座のタフさが上回った。藤井二冠にとっては羽生善治九段(50)、豊島将之竜王(30、叡王と二冠)、そして永瀬王座と歴戦の棋士相手とはいえ、わずか3戦で挑戦権を逃すという衝撃の展開となった。この結果には“教授”の愛称で知られる勝又清和七段(51)が「通算成績が8割3分を超える棋士が3連敗するリーグがこの世にあるらしい……」とツイートするほどだった。
中村太地七段「挑戦権争いは熾烈を極めます」
NumberWebにて「進取の将棋」を連載している中村太地七段は、王将戦挑戦者決定Lについて「このリーグ戦に参加できる人数が7人で、非常に狭き門。必然的にトップ・オブ・トップの棋士しか入れないのですが、そこでの挑戦権争いは熾烈を極めます」と語るとともに「その年度において、特に強さを見せている人たちが集結してくるリーグなのです。そのため王将戦の挑戦者決定リーグ戦は1局1局本当に目が離せない対局が続きます」とも解説している。
破竹の勢いだった藤井二冠でも3連敗するほどのハイレベルぶり――そう踏まえると、このリーグで羽生九段、豊島竜王、そして永瀬王座が練ってきた“藤井対策”、そして3人の地力もまた、恐るべきものだった。