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武豊「申し訳ないけど、皆様お静かにと」 15年前、異様な熱気に満ちていたディープの菊花賞
 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph byKyodo News

posted2020/10/20 11:00

武豊「申し訳ないけど、皆様お静かにと」 15年前、異様な熱気に満ちていたディープの菊花賞<Number Web> photograph by Kyodo News

菊花賞でディープインパクトの単勝支持率は79.03%。単勝式オッズは1.0倍(100円元返し)という圧倒的支持を受けた

ファンが待ちわびていた瞬間がついに

 そして、そんなざわめきは1周目のスタンド前を各馬が通過する際、更に大きくなった。3コーナーから4コーナーへかけての下り坂で行きたがったディープインパクトがそのままの勢いで1周目の直線に向くと、歓声が1オクターブ上がったのだ。

「申し訳ありませんけど、皆様、お静かにお願いしますっていう気持ちでした」

 その時の心境を後にそう語った武豊騎手は、そう願いながらも自分に出来る限りの手を打っていた。3000メートル戦で、掛かり気味に終始馬群の外を回すわけにはいかないと、隙を見つけてパートナーをインコースへいざなったのだ。

 結果、それが奏功した。ここで折り合ったディープインパクトはエネルギーを無駄に放出せずに蓄える事が出来た。そして2度目の坂を越え、下りた後にそれを爆発させると、早目先頭から粘り込みをはかったアドマイヤジャパンをあっさりとかわす。この瞬間を待ちわびていたファンからこの日、最も大きな声援を浴びつつ、ディープインパクトは史上2頭目の無敗の3冠馬へと昇華したのだった。

コントレイルは最も優秀な産駒になるか

 翌年、ディープインパクトは天皇賞(春)(GI)、宝塚記念(GI)、ジャパンC(GI)、有馬記念(GI)を優勝。計7つのGIを勝って引退し、史上最強馬の名をほしいままにした。種牡馬となってからの活躍も枚挙にいとまがなく、国内だけではなく、世界各地でGIホースを生み出したのは、競馬ファンなら誰もが知るところ。

 そんな優秀な産駒の1頭であり、もしかしたら最も優秀な産駒になるかもしれないのが、コントレイルだ。無敗の3冠の先には父が成しえなかった海の向こうでのGI制覇があるかもしれない。菊花賞は入場制限により、父の時のような歓声が上がる事はないだろう。しかし、そんな状況下でも、世界を視界にとらえる競馬を見られる事を、期待したい。

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