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サニブラウンや橋岡優輝を見て「自分が情けない…」と 棒高跳・江島雅紀、突然の恐怖を超えた挑戦

posted2020/10/21 06:00

 
サニブラウンや橋岡優輝を見て「自分が情けない…」と 棒高跳・江島雅紀、突然の恐怖を超えた挑戦<Number Web> photograph by Sota Motonaga

棒高跳で五輪を目指す江島雅紀。日本人未到達の6mを跳ぶ日が待ち遠しい

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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Sota Motonaga

 棒高跳の次世代エース江島雅紀が競技を始めたのは中学1年のとき。5mを超えるバーの高さに初心者は怯むことも多いが、彼は「子どもの頃からやんちゃで怖いものがなかった」と抵抗なく、棒高跳にどんどんのめり込んでいった。スパイクがふくらはぎに刺さって足が血だらけになっても平然としていたという。

 そんな彼のメンタルに異変が起きたのは大学2年のとき。競技を追究する過程で生まれた踏み切りに対する恐怖心から、思うような跳躍ができなくなった。

「大会の前日にイメージトレーニングで動画を見ているときに手が痙攣したり、ピッチに立った瞬間に、踏み切れないだろうという気持ちになってしまって。跳びたいのに跳べないんです。脳では分かっているのに、思うように体が動いてくれませんでしたね」

恐怖心なく踏み切れるようになったのは最近

 同世代のサニブラウン・アブデル・ハキームや橋岡優輝らの日本記録更新や世界舞台で活躍する姿を見て、何も成し遂げていない自分を“情けない”と責めたこともあった。

 昨年6月の日本選手権で江島は5m61cmを跳んで初優勝し、その2カ月後の上総走高跳・棒高跳記録会では5m71cmを記録。2年ぶりに自己ベストを更新した。同年9月に開催された世界選手権にも出場したが、その頃もまだ状態は良くなかったと明かす。

「本当の意味で棒高跳への恐さが取り払われて、踏み切れるようになったのは実は最近なんです。でも、ようやく今はまた競技に楽しく向き合えていると思います」

 東京五輪参加標準記録は5m80cmに設定されている。現時点で大学で指導を仰ぐ日本記録保持者の澤野大地しか跳んだことがない。

「澤野さんはコーチであり、同じ選手であり、大学のゼミの先生でもあるんです。教え子としては、日本記録を越えるのは自分でありたい。それが恩返しにもなると思うので。いずれは日本人初の6mジャンプも狙いたいです」

江島雅紀Masaki Ejima

1999年3月6日、神奈川県生まれ。荏田高卒業後、'17年に日大へ進学。'18年U20世界陸上競技選手権で銅メダルを獲得。'19年日本選手権で初優勝。9月の世界選手権に出場した。自己ベストは5m71cm。190cm、78kg。

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#東京五輪
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