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右肩脱臼に曲間違い…本田真凜を支えた“兄妹愛” 太一、望結、紗来もそれぞれの戦いへ

posted2020/10/14 17:00

 
右肩脱臼に曲間違い…本田真凜を支えた“兄妹愛” 太一、望結、紗来もそれぞれの戦いへ<Number Web> photograph by Takao Fujita

東京選手権に出場した本田真凜(左)と望結。11月5日から山梨県で行われる東日本選手権で再び同じ舞台に立つ

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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Takao Fujita

 いつも仲の良い姿で知られる“本田兄妹”の4人にとって、この10月2日から11日は、忘れられない週末となった。

 長男の太一(22)と四女の紗来(13)は、近畿選手権(10月2-4日)に出場、次女の真凜(19)と三女の望結(16)は東京選手権(10月9-11日)に出場。それぞれの思いを胸に、4人が支え合ったシーズン初戦となった。

 4人のトップバッターとなったのは末っ子の紗来。過去3シーズンは、全日本ノービスBで優勝、全日本ノービスA2位、4位と成績を残し、有望選手として期待を集めてきた。ところが10月2日の近畿選手権、ジュニア女子ショートでは、冒頭のルッツが1回転になるなどミスがあり16位発進となってしまった。

 よく考えれば、まだ13歳。ノービス時代の活躍と、姉たちの知名度と、重圧を背負うにはまだ幼い年頃である。予定されていたインタビューも見送りになるほど、落ち込んでしまった。

紗来は最後まで逃げなかった

 それでもフリーの日、紗来は最後まで逃げなかった。2度の転倒はあったが、しっとりと映画『SAYURI』のプログラムを演じ、結果は総合16位。西日本選手権への通過は12位以上のため、地区予選敗退となってしまったが、気丈にインタビューへと現れた。

「ショートは不安と緊張で縮こまってしまい、その失敗をフリーでも引きずってしまいました。お兄ちゃんの引退のシーズンで気持ちが入りすぎてしまいました。大きな壁を自分の力で破りたいです」

 Zoom越しのインタビューで、涙が光ったかどうかは定かではない。精一杯、絞り出すような声でゆっくりと言葉を紡いでいた。

 肩を落とす妹を、兄の太一はこう思いやった。

「紗来はとても残念でした。成長期なので大変だと思うけれど、スケートを好きな気持ちを取り戻してもらいたいです。今季もまだ全中(全国中学校体育大会)がありますし、来年は全日本ジュニア、そしてシニアの推薦という高い気持ちを持ってやって欲しい。魅力的な選手だと思うので、大人っぽくなった紗来の演技が見られることを期待しています」

【次ページ】 「引退の時に使おうと決めていました」

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