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グランアレグリアはますます強くなる あの名牝を大スランプから完全復活させた藤沢師の技
posted2020/10/09 19:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
10月4日、中山競馬場で行われたスプリンターズS(GI)を制したのはグランアレグリアだった。史上2人目のJRA通算1500勝を達成した名調教師、藤沢和雄調教師の管理馬だ。
一昨年、2歳時の朝日杯フューチュリティS(GI)で完敗と言ってもよい3着。昨年もNHKマイルC(GI)で4位入線も直線での斜行により5着に降着となった。
しかし、今年、古馬になってからは覚醒の感。休み明けの上、初めての1200メートル戦となった高松宮記念(GI)こそ追い込み届かず2着に惜敗したが、続く安田記念(GI)では現役最強馬とも言われるあのアーモンドアイを突き放して楽勝。そして、今回も4コーナーでもまだ万事休すと思えるような位置取りから中山の短い直線だけで先行勢を一網打尽。自身3つ目となるGI制覇を飾った。
デビュー戦で450キロ台だった馬体は今回500キロ台に。この成長力が本格化した要因の1つと思われた。
思い出す桜花賞馬・ダンスインザムード
藤沢調教師が育てた牝馬で似たような成長曲線を見せた馬といえば、2004年の桜花賞馬ダンスインザムードが思い出される。
2003年12月、彼女が2歳でデビューした際の馬体重は452キロだった。その新馬戦を勝つと、その後自己条件の若竹賞を連勝。更に重賞初挑戦となったフラワーC(GIII)で3連勝を決め、自身初めての大舞台となる桜花賞(GI)に向かった。
結果、この桜花賞を制してデビュー以来の連勝を4に伸ばすのだが、このGI初制覇の際の馬体重は464キロ。デビューから僅か4カ月弱の期間でも成長していた。
しかし、この桜花賞馬が本当に成長するのはまだ先の話だった。