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大坂なおみの直感vs.アザレンカの論理 コーチを巡る決勝のドラマと逆転劇の「ひらめき」 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2020/09/14 11:50

大坂なおみの直感vs.アザレンカの論理 コーチを巡る決勝のドラマと逆転劇の「ひらめき」<Number Web> photograph by Getty Images

大坂なおみが2年ぶり2度目の全米制覇を果たせたのは、フィセッテコーチ(右から2人目)や中村コーチ(左から2人目)の尽力があったからこそだろう。

「ナオミはここぞという場面で直感的に」

 しかしこう続けた。

「でもこれは全米オープンの決勝だ。いかに感情をコントロールして大事なところでベストのテニスをしようとするかにかかっている」

 綿密なデータ分析によるコーチングを得意とするフィセッテは、選手を2つのタイプにカテゴライズする。論理型と直感型。アザレンカは前者で大坂は後者だという。

「ナオミはここぞという場面に直感でプレーする選手だ。もちろん戦術を持ってコートに入る。でもその戦術は、たとえば僕がビカ(=ビクトリア・アザレンカ)に与えるものよりももっと基本的なものだ。ナオミの場合、コーチングはやりすぎず、抑えることが大切なんだ。決勝に向けても細かくいろいろ言うつもりはない。これまでにも彼女は自分の感覚に従ってすばらしいテニスをしてきたからね。僕はそれを信じている」

試合中のひらめきをいかに成功させるか

 決勝戦。完璧なテニスでスタートしたアザレンカに対して大坂はなす術がなく1-6で第1セットを奪われ、第2セットも0-2と追い込まれる。ここから6-3、6-3とセットを連取する逆転劇は、フィセッテが言った通り、大坂の勝負勘、センスだったのだろう。

 すぐにブレークバックした第2セット第3ゲーム、ここでペースを落としてじっくりとラリーを始めたことは試合の流れを少し変えた。

 また、大坂が「一番大事なゲームだった」と振り返ったのは第3セットでブレークした第4ゲームだったが、その直後のサービスゲーム0-40のピンチではパワーに頼ったサーブを叩き込まず、スピードを落として回転とコース重視の勇気あるサーブでアザレンカのリターンミスを続けて誘った。それはやはり大坂自身の直感が働いたアイデアだったと思われる。

 こうした試合中のひらめきをいかに成功させるか、そのために選択肢を増やすことと技術を高めることが、この5カ月あまりのツアー中断中の大きな課題でもあった。「これほど長い時間を練習に使えることはない」とプラスの意識を共有しながら取り組んできたことで、大坂の弱点を補い、強さをさらに磨いたのだ。

【次ページ】 中村豊コーチの存在も大きかった

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