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レイソルの“J2オールスター”化。
個人昇格組の適応と「福岡修行」。
 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/31 11:40

レイソルの“J2オールスター”化。個人昇格組の適応と「福岡修行」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

J2で育った選手がJ1でも存在感を発揮する流れは拡大しているが、中でもレイソルは顕著だ。

J2最多の22点を量産した呉屋。

 背番号19を着ける呉屋大翔も、J2からの“個人昇格組”だ。

 昨シーズン開幕直後にガンバ大阪からV・ファーレン長崎へ期限付き移籍すると、J2最多タイの7試合連続得点を含む22ゴールを量産した。

 アルビレックス新潟から浦和レッズへ移籍したレオナルド、今シーズンからチームメイトとなったオルンガに次いで、日本人最多となる得点ランキング3位に食い込んだ。かつて大学ナンバー1ストライカーと言われながらガンバ大阪で定位置をつかめず、'18年に期限付き移籍した徳島ヴォルティスでも結果を残せなかった男が、プロ5年目にして壁を打ち破ったのだった。

 柏の前線ではオルンガと江坂任が、指揮官ネルシーニョ監督から全幅の信頼を寄せられている。スタメンに割り込むのは簡単でないものの、すでに2点をあげている。スーパーサブとして存在感を発揮しながら、スタメン奪取をうかがっていくだろう。

 ネルシーニョ監督にとって貴重な交代カードとなっているのは、呉屋だけではない。アルビレックス新潟から加入した戸嶋祥郎も、指揮官の采配を柔軟なものにしている。2シーズンを過ごした新潟では、ダブルボランチをメインに右サイドハーフや右サイドバックでもプレーしてきた。プロ3年目の24歳は、ユーティリティー性が高い。

アビスパとは強いパイプが。

 ここまで2試合に出場している北爪健吾も、昨シーズンはJ2の横浜FCでプレーしていた。横浜FCでは右サイドバックと右ウイングバックで、レギュラー格の働きを見せてきた28歳である。

 北爪が出場機会をうかがう右サイドバックは、5節の湘南戦から古賀太陽が先発出場している。この21歳は左右両サイドでプレーでき、開幕から4試合は左サイドバックを任されてきた。

 昨年12月のE-1選手権で日本代表デビューを飾った古賀は、'18年にJ2のアビスパ福岡へ育成型期限付き移籍をしている。柏のヘッドコーチから福岡の監督となった井原正巳のもとで、実戦経験を積んだ。柏には翌'19年に復帰し、シーズンを通して稼働した。

 さかのぼれば'15年にも、井原監督の福岡へGK中村航輔が期限付き移籍している。当時20歳の守護神はJ1昇格プレーオフを制したチームで定位置をつかみ、翌'16年のリオ五輪代表入りをつかみ取った。

 中村や古賀が成功モデルとなり、今シーズンは上島拓巳が福岡へ期限付き移籍中だ。柏のアカデミーで現ズヴォレ(オランダ)の中山雄太とセンターバックのコンビを組んだ23歳は、長谷部茂利監督のもとで4バック中央を担い、ゲームキャプテンも任されている。次のシーズンへ向けた戦力の底上げも、柏は同時進行で進めているのだ。

【次ページ】 柏の個人昇格組の適応力が際立つ。

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