マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
日大藤沢・牧原巧汰はやはりいい。
高校No.1捕手が持つ2つの超一流。
posted2020/08/05 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Yoshiyuki Otomo
朝方までのどしゃ降りが次第に小降りになってきて、試合開始の9時過ぎには、8割がた青空のカンカン照りに豹変するのだから、最近の日本の夏は、まさに「熱帯」のお天気そのものだ。
それでも南の方角にはスコール間違いなしのどす黒い雲がびっしりと控えていて、今はカンカン照りでも、決して油断はできない。
各地で「代替大会」たけなわで、「神奈川」も大会スタート1週間前。
各チーム、解禁になって1カ月の急仕上げでも、今週は「打ち上げ」の練習試合に臨んでいる。
前の日の試合が雨で流れたが、その日だけはどうしても見たかった。
高校球界No.1の捕手がいる。
日大藤沢vs.三浦学苑。
昨春の神奈川県大会、「1本のファール」の打球と、マジックのようなボールの握り替えのワザに惚れ込んで、以来ずっと注目している日大藤沢の捕手、牧原巧汰(3年・176cm82kg・右投左打)。
昨夏、昨秋のプレーぶりを見れば、「高校球界No.1捕手」という位置付けでもぜんぜんおかしくないだろう。そう見込んだ強肩・強打の捕手の「答え合わせの夏」だ。
およそ3カ月にわたった「自粛の春」を乗り越えた牧原巧汰の久しぶりの実戦を、この目で確かめにいった。
記憶から消えない1本のファールは2年生の春だったからまだ1年生に毛のはえたようなものだ。それが、金属バットとはいえ、プロ顔負けの打球を放ったから目をむいた。
ライトポール上空に向かって一直線に舞い上がった打球は、わずかにポール右の空域を通過して、そこからギューンときれながら見えなくなっていた。
なんだ、ありゃあ……。