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ホン・ミョンボに挑み、敗れ、学んだ。
「韓国型サッカー」とは何なのか?
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byYONHAP NEWS/AFLO
posted2020/06/24 11:40
W杯に4大会連続出場、韓国代表史上最多136キャップを誇るスーパースターのホン・ミョンボ。大韓サッカー協会理事として活躍中。
相変わらず彼は「偉かった」。
'18年、本人に初めて1対1のインタビューで話を聞く機会を得た。
'18年、ソウルにて映像モノの「レジェンドコリアンJリーガー連続インタビュー」を行った時のことだ。Jリーグ発足25周年を記念してのことだ。
最初に言葉を交わしてから、じつに17年が経過していた。
ただこの時も、相変わらず彼は「偉かった」。
「大韓サッカー協会洪明甫専務様宛て」という仰々しいオファーレターに事前質問を添えて送らねばならなかった。質問内容が「Jリーグに関すること」に定められていた。「お付き」の広報担当もいた。インタビューは内容に沿って、黙々と進行した。
雰囲気がグッと和んだのは、インタビュー後のことだった。
女性ウケはホン・ミョンボで、男性ウケはパク・チソン。
現地制作会社の30代前半の韓国人男性スタッフが、ホンと2ショットの写真撮影を求めた。スタッフはスマホを手に大喜び。
「ありがとうございます。FIFAで、使ってるんですよ~」
おいおいおい。天下の洪明甫になんてことを! FIFAとは、(言うまでもないが)オンラインのサッカーゲーム。エディット可能なゲーム上の自分のチームに加えているということ。本人に会えた喜びを伝えるなら、もっと韓国代表での凄いキャリアを称える方法があるだろうって。
でも、ホンもまた、喜んでいるように見えた。
この時は、韓国側の制作会社のスタッフがオール韓国人、現場にいるのもほぼ全て韓国人というなかで、日本側の依頼主の指名を受けた筆者が韓国語でのインタビュアーになるという不思議な現場だった。
帰りの車中、現地派遣の韓国人男性スタッフに言われた。
「吉崎さん、ここの制作会社の女性陣から大ブーイングですよ! 羨ましい、自分がインタビューしたかったって。ちなみに(連続インタビューした)パク・チソンは男性陣からブーイングでしたよ!」
女性ウケはホン・ミョンボで、男性ウケはパク・チソン。分からなくもない。ホンは'12年ロンドン五輪銅メダル獲得を通じ「素敵な上司」のイメージがあるんだろう、と思った。