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トルシエJ、川口と楢崎の序列って?
名守護神バツが語る伝説のGK合宿。
text by
フローラン・ダバディFlorent Dabadie
photograph byKyodo News
posted2020/06/05 11:30
サッカー日本代表候補の合宿で指導する元フランス代表GKのジョエル・バツ氏。川口や曽ヶ端らを熱血指導した。
空中戦に強くなる3つの条件。
'02年1月の指宿合宿でラマ氏の通訳を3日間務めた筆者も、あることを思い出しました。
ラマ氏は日本人GKに空中戦の守り方をアドバイスしたのですが、それは10年前にバツ氏に教えてもらっていたアプローチだったのです。ラマ氏ほどの身体能力もなければ、背も高くなかった現役時代のバツ氏ですが、ミスはほぼしませんでした。
「空中戦に強いGKにはいくつか異なるタイプがあります。向かってくる弾道を的確に読むタイプ。フットワークが正しい上に、ジャンプ力の高いタイプ。メンタルの強いタイプ。理想は3つの要素を併せ持つこと。
世界一だったベルナールは3つを持ち合わせていて、ペナルティ・スポットまで次々とCKやセンタリングを積極的にキャッチに行ってました。ただ、今はボールが変わりました。時にはパンチでクリアするのが精一杯です。でも、空中戦に強くなるための条件は以前と変わりません。読み、フットワーク、メンタルが全てです」
「余裕があるなら川島を第2GKに」
もしバツ氏がリヨンと契約していなければ、トルシエ監督は彼を2000年のシドニー五輪へ連れて行ったでしょう。
バツ氏に東京五輪のOA枠の質問をすると、生き生きして答えてくれました。
「今では日本の若いGK(U-23候補)も海外でもプレーしています。クラブで試合に出続ける環境にいれば、わざわざベテランGKを抜擢する必要もありません。大舞台に初めて出た私だって('84年ユーロ)、ファビアン・バルテズ('98年W杯)だって若かった。経験というものは異なった環境の経験、試合の経験、成熟度でもあります。
とはいえ、余裕があるなら川島永嗣をナンバー2として呼ぶのもすごく賢い方法です。万が一、ナンバー1の怪我があれば躊躇せずにゴールマウスを任せられますからね。正GKの怪我でプランが狂ってしまったチームはサッカー史を遡ればいっぱいあります」