ぶら野球BACK NUMBER
他者の本の中のノムさんはリアルだ。
古田、片岡スカウト、吉井、克則。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byKyodo News
posted2020/04/19 11:40
古田敦也と野村克也、2人の師弟関係の始まりは「眼鏡のキャッチャーはいらん」だった。
最後に「11年間、よくがんばったな」。
ヤクルト、阪神、途中の巨人を挟み、最後は楽天と父親が指揮を執る3球団で克則はプレーし続けた。通算222試合で打率.185、4本塁打、17打点。2006年の引退試合後、野村監督は「11年間、よくがんばったな。プロ野球選手は引退してからが長いんだ。これからの人生が大切だぞ」と労いの言葉をかける。
「よく本を読め。できる限りたくさん読むんだ。それが人を指導していくうえで大きな力になる」
その発言の数々は、他の選手とのエピソードと比べると、やはり選手・克則に対してというよりも、愛すべき息子・克則が人生を生きる上での心からのアドバイスに聞こえてくる。
幾多ある野村自身の著書はまさに「野球人・野村克也」の記録だが、教え子たちの本に書かれたそれぞれのノムさん像こそ、「人間・野村克也」の真実だと思うわけである。